ENJOY! DAILY ADVENTURE IN NY!  驚きのニューヨーク⑦ ~オークションハウス~


ENJOY! DAILY ADVENTURE IN NY!

驚きのニューヨーク⑦
~オークションハウス~

 

こんにちは。御所丸です。先日1年半ぶりにNYを訪れました。NYの街はエナジーで溢れていますね!歩いているだけでワクワクしてきます。1週間ほどの滞在でしたが、数多くの友人と再会でき、本当に嬉しかったです!今回も駐在中に驚いた出来事のご紹介を続けさせて頂きます。

 

パパ友にお誘いを受けて彼のお宅で飲んで話をしていたところ、美術の話題になり、MET MuseumとMOMAのMemberになって時間があるときに観に行って楽しんでいる、という話をしたら、実は彼は大学で美術を専攻しており、美術が好きなら、オークションハウスに行け、と奨められました。オークションに出展される作品が事前に一般公開(“Public Viewing”)される期間があり、その間は誰でも無料で楽しめるとのこと。Christie’sやSotheby’s、PHILLIPSなど、NYには名だたるオークションハウスがあって、出展される作品の中には美術品所蔵のものより素晴らしいものがあり、それぞれの作品には値段が付いているので、美術作品の市場価格が分かるので面白いよ、とのこと。

早速、Christie’sに行ってみたのですが、入るのはすごくハードルが高いです。入口には屈強な?ドアマンがいて、特別な招待客だけが出入りしているように見えます。とは言え、思い切って入ってみました。回転ドアからすぐのところから作品が並べられており、奥の方に受付があります。どうしていいか分からないので、とりあえず受付に行って聞いてみたところ、建物内をどうぞご自由にご覧ください、とのこと。一通りぶらぶらしてみて、本当にビックリしました。受付の左側にある建屋3階分、右側は奥の方まで広がる広大なスペースに、ズラリと出展品が並んでいます。絵画や彫刻などの美術品だけでなく、宝飾品やカバンなどが出展されており、それぞれの横にはプレートが置かれて、説明と共に”Estimate”として価格が記載されています。確かにモノの値段が分かるので、美術館で絵を見るより面白いかも知れません。有名作家の作品も多く含まれています。

あまりに面白かったので、機会を見つけてその他のオークションハウスにも行くようになりました。美術品やラグジュリーなグッズだけでなく、ローマ時代などのアンティークや、歴史的に価値の高い手紙、有名野球プレーヤーの帽子など、多種多様なものが出展されています。アインシュタインの相対性理論に関する手書きのメモなども見かけました。Sotherby’sはワインのコレクションが有名なようで、1階にはワインショップが併設されています。PHILLIPSではZOZOの前澤さんの持っていたバスキアの絵が出展されていました。

Christie’sは、オフィスが近いため、お昼休みや退社後に覗きに行くようになり、ドアマンとも馴染みになりました。あるオークションでは、著名な美術コレクターの蒐集品が出展されていたのですが、印象派の素晴らしい作品が数多く出展されていて、あまりの素晴らしさに驚愕しました。大きな美術館でもこれほどの作品を集めた展覧会を開くのは難しいのではないかと思えてきます。モネの良品などは、”Estimate on Request”とされており値段がつけられていません。実際のオークションがどんなものか見てみたいと思って、開催時間に訪れたところ、残念ながら招待客のみとのことで、Webでオークションの様子を観ることにしました。

オークションは息詰まるような面白さです。オークショニアと呼ばれる司会者が見事に仕切って、たいていの作品はEstimateされた価格程度で落札者がどんどん決まっていきます。ところが、ゴッホが亡くなる3週間前に描いた、青い草花を口にした若者の絵は違いました。Estimateが5~7百万USD(約7~10億円)だったのですが、それを軽々と超えてどんどん値段が上がっていきます。50万ドル単位で値段が上がっていたのが、そのうちに100万ドル単位で上がるようになり、大勢いた買い手が次々に脱落していき、最後はNYと香港の買い手の決戦になりました。ある値段を超えると、代理人が電話で買い手と調整する時間が長引き、その間、緊張した沈黙が流れるのですが、オークショニアが絶妙のタイミングで、合いの手を入れて沈黙を破ります。いまにも落札者が決まりそうになったと思ったら、もう一方が少し値段を上げて駆け引きが続き、ビリビリする中、オークショニアが、バン、と机を叩いて、落札者を宣言しました。最後はNYの買い手が競り勝ったのです。その瞬間、まるで自分が落札したかのように、痺れるような感激を味わいました。最終的な落札金額は、何とEstimateの6倍程度の約40百万ドル(約55億円)。会場にはどよめきが広がりました。

いやあ、本当にすごいところです。面白いので、ぜひオークションハウスを訪れてみて下さい。無料で美味しいコーヒーも飲めたりします。特に美術好きの方にはお奨めです。先日NYを訪問した際に、Christie’sを覗きに行ったのですが、Mark Knopplerのギターコレクションが出展され、Gibsonの1959年のLes Paul Standardなどが出ていました。お金とモノの集まるNY、その中でも一つの最高峰がこのオークションハウスかも知れません。ハードルが高くても、思い切ってドアを開ければ、そこにはこれまで知らなかった世界が広がっています。次に行くときには幾つか落札して帰ろうなんて夢を持つのも楽しいですね!

御所丸 富太
プロフィール:NYの奥深さをこよなく愛する京都生まれの元NY駐在員。趣味は料理、ギター演奏など。NYでの副業成功を夢見ている。