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共同通信
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生物兵器の製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとする外為法違反罪などに問われ、後に起訴が取り消された横浜市都筑区の「大川原化工機」の大川原正明社長(74)らが東京都と国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(桃崎剛裁判長)は27日、いずれも賠償を命じた。
審理は証人尋問に出廷した警視庁公安部員が事件を「捏造」と証言するなど異例の経過をたどり、捜査の違法性を巡って結論が注目されていた。
装置は霧状の液体に熱風を当てて瞬時に粉末化する「噴霧乾燥装置」。外為法の関連規定上、規制対象となる「滅菌または殺菌できるもの」に該当するかどうかがポイントだった。
社長側は規定について、経済産業省も事件当時には明確な解釈を持っていなかったと指摘。「殺菌」は国際合意で薬液による消毒に限られるのに、捜査側が独自の解釈に基づいて社長らを逮捕、起訴したのは違法だと主張していた。
一方、東京都側は規制の文言上は「殺菌」の具体的な方法まで定められていないなどと反論。国側も東京地検の検事が合理的に起訴を判断し、違法ではないとしていた。