津山恵子のニューヨーク・リポートVol.24 女は「モノ」ではない 松本人志とオジサンを一掃しよう

 

津山恵子のニューヨーク・リポートVol.24

女は「モノ」ではない
松本人志とオジサンを一掃しよう

松本の活動休止を伝えるJapan Times記事

 

週刊文春が12月27日、「松本人志と恐怖の一夜 『俺の子ども産めや!』」をスクープし、テレビ業界を混乱に陥れた。お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本が、「スピードワゴン」の小沢一敬に女性を集めさせ、高級ホテルで飲み会を開催。気に入った女性から個室に呼び、全裸で高圧的に性行為を迫ったという記事だ。  

まず、告発者A子さんとB子さんの勇気ある証言に感謝したい。性行為を拒否したA子さんは、小沢から「失礼があったら、この辺りを歩けなくなっちゃうからね」と脅された。パニックになったA子さんは、飲み会のお礼を小沢にLINEした。そのLINEについての記事を受けて、松本はXで「とうとう出たね。。。」と軽率な勝利宣言をした。  

吉本興業は「当該事実は一切ない」と記事に反論していたが、松本の投稿で飲み会があったことは明らかになったわけだ。  そして言いたい。「女はモノではない」と。集めて個室で性行為をさせて、おそらく無かったことにできると思ったのだろう。飲み会コレクションの対象でも、性奴隷でも、地位を利用して黙らせられる対象でもない。以上の行為は人権侵害であり、合意のない性行為強制は、「性的虐待」で犯罪行為だ。松本が万が一行為を起こしていたら、逮捕され「被告」となり、法で裁かれる。  

1月10日、福岡県朝倉市で、5千円札を押し付けて女子高生に無理矢理触った無職・藤田正樹容疑者(72)が、わいせつ行為で逮捕された。「制服の女の子がいたので欲情を抑えきれなかった」と証言しているという。制服を着ているというだけで、欲情するというのも女性の「モノ」化だ。 一部の中高で「男子が(うなじに)欲情するから」という理由でポニーテールが禁止になっていることも、一時Xで話題になった。氾濫するポルノチックなポスターなど男性の欲情を社会では大目に見ているから、女性や弱者を「モノ」みたいに扱っていいと無意識に思うのだろう。合理性がない校則を作り、女性の人権を無視したポスターなどを作っているオジサンたちを、松本人志とともに一掃しなくてはならない。  

ちなみにアメリカやニューヨークでは、パンチラや大きな胸の女子高生などのエッチなポスターは、一切見たことがない。これらがないだけで、日本で日々痴漢に怯える女子・女性が、職場で変な視線で見られて恐怖感を覚える女性がどんなに助かるだろうか、と思う。  

激動の2023年を振り返り、「正義」が日本で復活しつつある、と前回書いた。故ジャニーズ喜多川の性的虐待問題で、主要メディアと芸能界が犯罪行為を認める検証を始めたからだ。ジャニーズ問題はその後、目立った動きがなく残念だ。しかし、24年も、人々が「不正義」とは何かを認識し、「正義」が当たり前となる流れが続いてほしい。(敬称略、津山恵子)

津山恵子 プロフィール
ジャーナリスト。ザッカーバーグ・フェイスブックCEOやマララさんに単独インタビューし、アエラなどに執筆。共編著に「現代アメリカ政治とメディア」。長崎市平和特派員。元共同通信社記者。

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