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共同通信
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元日の朝まで海底だったはずの場所がむき出しになり、何隻もの船が乗り上げて動けなくなっていた。能登半島地震による沿岸部の隆起で変わり果てた漁港の風景に、漁師は将来への展望を描けず「海は諦めるかもな」とつぶやいた。
石川県輪島港で刀祢重勝さん(73)は、木製の簡素な桟橋の横に立ち、柱の上部に手を当てた。地震の前までは、そこが海面だったという。「2メートルぐらいは動いたのでは。人間ではどうにもならない」。22歳で漁師に。「70代だし、海は諦めることになるかもな」
珠洲市片岩地区の大野勇さん(76)は「もう漁はできないかもしれない」。陸に揚がった小型船のへりに腰かけながら話した。