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共同通信
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2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、全身やけどを負った青葉真司被告(45)の主治医を務めた上田敬博教授(52)=鳥取大病院高度救命救急センター=は、孤独と絶望が事件の根幹だと考えている。公判は25日に判決の節目を迎えるが、孤立対策の議論が社会で深まることを願う。
事件発生から2日後、当時の勤務先だった近畿大病院(大阪府大阪狭山市)に瀕死状態の被告が搬送された。全身の9割を超える大やけど。弱気にもなったが「真相解明のため『死に逃げ』はさせない」と奮起し、医師と看護師ら計約20人態勢で治療を続けた。8月、被告は意識を取り戻した。
治療中は警察官が立ち会い、事件のことは聞けなかった。腹を割って話せたのは11月、転院の際に同乗したドクターカーの中だった。「後悔せざるを得ない」。そう話す被告に事件を起こした理由を尋ねると「追い詰められていた」と漏らした。
被告は、病院で世話をしてくれたような人たちと事件前に出会っていたら「やっていなかった」とも打ち明けた。