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共同通信
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茨城県の名産品・干し芋の残りかす(残(ざん)さ)を家畜の飼料に転用する独自の資源循環モデルの構築に、県が取り組んでいる。物価高騰は農業や畜産業にも影響を与えており、県担当課は「フードロスの削減だけでなく、高騰する資材の代替手段になる」と、実現に期待を寄せる。
県では干し芋の生産が盛んで、近年は贈答用やお土産品として人気が高まっている。原料のサツマイモの皮などの約3割が捨てられ、残さの総量は年間約1万トンに。今後増加も見込まれる。
飼料にするには水分量の多さが課題で、品質管理のために乾燥させる必要があるが、加熱すると焦げやすいのが欠点だった。県担当者は「簡単な話ではない。事業者の技術力に期待したい」と話す。
茨城県ひたちなか市の干し芋製造業者「幸田商店」は、県に先行して残さの飼料化に取り組む。製造しているのはジェル状の飼料だ。家畜の飼料添加物として使われる「ギ酸」を用いた特殊な技術で腐敗を防ぐ。幸田商店では年間約千トンの残さが出る。
鬼沢宏幸(おにざわ・ひろゆき)社長は「捨てる部分が多く、もったいないと感じた。できあがった飼料は炭水化物や食物繊維を多く含み、利用者からも好評だ」と話した。
こうした事業の推進のため、県は2023年度の補正予算に2億6千万円を計上し、事業者の設備導入費を補助する。2023年12月現在で3社への交付が決定。粉末にしたり、水分量の少ない別の食材と混ぜたりするなどの工夫で、飼料化への課題解決を目指すという。事業は年度内にも始まる予定だ。