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共同通信
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【ワシントン共同】米国で、早期上場の手段として使われる「特別買収目的会社(SPAC)」と合併した新興企業が破綻する例が相次いでいる。十分な審査などを経ずに上場した後、事業見通しの甘さが露呈して投資家の損失が拡大する構図となっており「SPAC上場」のブームは早くも終焉を迎えている。
SPACは、事業の実体がない「空箱」のような会社として先に上場し、その後に未上場企業を買収・合併することを目的に設立される。合併相手の新興企業にとっては自ら上場する場合に1年以上かかる準備や審査の期間を短縮できるメリットがある。2021年ごろに米国で急増し、日本でもSPAC解禁を巡る是非が話題となった。
コロナ禍での米政府による財政出動や連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和に伴う巨額資金の流入を背景に、21年はSPACの上場が613件に急増。ただ事業計画の甘さから上場直後に株価が下落する事例も目立ち、米証券取引委員会(SEC)は22年に規制を強化。22年は86件、23年は31件と上場件数はしぼんだ。