在宅避難者の実態把握に遅れ

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共同通信
平井千里さん(52、左)は空き家となっていた母正子さん(84)の実家で寝泊まりを始めた。2人で住んでいた自宅は地震で被害を受け、もう住めないと判断。この家も応急危険度判定で「危険」とされたが「ここにはプライバシーがあるし、テレビもある。揺れが来たらすぐ飛び出せるよう心構えしている」。一方、正子さんは日中をここで過ごし、夜は「安心して眠ることができる」と避難所に帰る生活を続ける=26日午後、石川県輪島市

 能登半島地震で被災後、避難所ではなく自宅で暮らし続ける「在宅避難者」の人数などの実態を、石川県珠洲市や輪島市など6市町が把握できていないことが26日、分かった。避難所での対応や2次避難の調整などに人手を取られ、確認が遅れている。自治体が健康の変化やニーズを確認できず支援が不十分となり、災害関連死などにつながる恐れがある。

 県は19日、避難所以外で生活する被災者の専用窓口を設けて居場所などの情報を登録するよう呼びかけ、25日正午時点で5453人の届け出があった。ただ在宅避難者以外も含まれており情報を精査中だ。未登録の人も多いとみられ、全容把握には時間がかかりそうだ。

 介護が必要な家族がいるなどの理由で避難所に行かなかったり、避難所生活に不自由さを感じて自宅に戻ったりした被災者は少なくないとされる。地震や津波で損壊した自宅で暮らす人もいる。地震による被害が大きく、被災者数が多い珠洲、輪島、七尾の3市と能登、穴水、志賀の3町に取材したところ、いずれもこうした在宅避難者の人数などを把握していなかった。

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市で、支援物資を求め列をなす人たち=26日午前