ENJOY! DAILY ADVENTURE IN NY!
New York のバーあれこれ①
~老舗バー(その1)~
こんにちは。御所丸です。寒い日が続いますが、お元気ですか?新年に入りましたので、今回から新しいシリーズとして、駐在中に探訪して大好きになったバーを幾つかご紹介させて頂きます。
みなさんは、バーはお好きでしょうか?お酒好きの方でも、居酒屋は大好きだけどバーは堅苦しくて好きではない、という方が多いのではないでしょうか?
~私のバー初体験/京都サンボア~
私はバーが好きです。私に取って初めてのバーは、日本最古のバー「京都サンボア」です。怖くて有名なマスターがいて、強烈な威厳を放っていました。音楽などなく、何人もカウンターに座って飲んでいるのに、話し声どころか物音がほとんどしません。お酒を飲むときの喉の音が聞こえるくらいです。
友人を連れて行くとよく叱られました。違うカクテルを頼んで味見のために交換しようとすると「自分で頼んだもんは自分で飲むもんや」カウンターに身体ごともたれかかった友人には「カウンターには肘をつくもんやない」隣の人に喋りかけると「この人は一人で楽しみに来てはるんや」指でウイスキーの氷を混ぜた友人には「ばばちい」車のキーをカウンターに置いた友人には「あんたには出すもんあらへん。帰りなはれ」
そこは、飲んでも飲まれるな、飲んで人に干渉するなといった、大人の飲み方?を酔客に教え込む道場のようなところでした。ピリピリと張り詰めるような雰囲気ですが、一旦慣れると、好きなお酒を楽しみながら、静かで物思いにふけれる、他所にはない貴重なところだということに気づきます。
~NYの老舗バー/P.J. Clarke’s~
さて、場所を移して、NYのバーのご紹介です。
駐在先の事務所から歩いてすぐのところに“P.J. Clarke’s”というお店があります。駐在前にNYに出張して来た際に、同僚からバーガーを食べに行こうと誘われてランチに出かけたのが初めての訪問でした。周囲の高層ビルの中で、このお店だけがレンガ造りの2階建てです。「これは何かある」とピンと来て、駐在して早速、バータイムに訪ねてみました。夕方6時にはもう大混雑で、仕事帰りの人たちが大声で話しています。
立派な木製のバーカウンター。使い込まれた木のスツール。つるつるに磨かれたタイルの床。あちこちにはめ込まれた味のあるステンドグラス。古い吊り照明。道路に面した窓に沿って設けられた細長い立ち飲み用のテーブル。山積みの氷の上に並ぶ、新鮮なオイスター、シュリンプ、ロブスター。酒飲みにとって、とっても居心地のいい雰囲気です。
調べてみると、 1884年の創業。NYで最も古いバーの一つでした。日本最古の「京都サンボア」は1918年創業ですので、さらに30年ほど古いです。バーといっても、日本の堅苦しいバーのイメージとはかけ離れていて、ビアパブと呼ぶほうがふさわしく、米国人にとっての居酒屋といった感じです。最初はオーダーをどうするのかも分からない状態でしたが、通い詰めるうちに、バーテンたちと顔見知りになり、いつも最初に頼むBrooklyn Lagarを注文しなくても出してくれるようになるなど、居心地がどんどんよくなっていきました。なお、駐在中に何度か内装を改装していて、今ではバーコーナーにあった“Raw Bar”は取り払われ、より多くのお客さんが入れるようになっています。
食事は本格的で、2階には“Side Car”というシーフードレストランが併設されています。特にバーガーやシーフードが美味しく、所謂“Full Bar”なので酒類は何でもあります。お客さんは思い思いに注文していますが、やっぱり“Martini”が多いように思います。オリーブの実の中にゴルゴンゾーラチーズを詰めた“Dirty Martini”が美味しくて、Vodkaベースのものをよく注文しては、キツくて量がお多いので、酔っ払いました。
P.J. Clarke’s
915 3rd Ave, New York, NY 10022
https://pjclarkes.com/
~McSorley’s Old Ale House~
こんな素晴らしいお店が他にもあるか調べてみたところ、何と1854年創業のバーがあるではありませんか!こちらも早速訪問してみました。“McSorley’s Old Ale House”です。金曜日の夜などは満員電車のごとく込んでいて、動くことすらままなりません。おが屑が撒かれている木の床を少しずつ進んで、何とかカウンターにたどり着いて注文するのですが、アルコールはビールのみ、しかも2種類。店員さんからは”Light or Dark?”と聞かれます。
1杯しか頼んでないはずなのに2杯出てくるので、初めて行った人はみな一様に驚きます。大人数で行くと店員さんが両手にたくさんのグラスを抱えて持って来て、ズラリと並べてくれます。それぞれ1オーダーしかしていないのにとても豪勢で楽しいです。ビアジョッキは小ぶりで2、3口でグビリと飲めてしまうサイズ感。ビールを美味しく飲んで欲しいということでこの「2杯制度」が始まったのでしょうか?由来はナゾですが、このビールが本当に美味しいです!“Light”も”Dark”も、いい香りでノドごしがよく、後味はサラリとしていてたまりません。幾らでも飲めてしまいます。日替わりのメニューには“Fish & Chips”などがあり食べ物との相性もバッチリです。
通い始めた頃は、ビアグラスはキチンと洗っていませんでした。消毒液に一旦ザブッとつけて、ひっくり返して水気を切っただけで、乾くまもなくビールを次々に注いでます。隣のお客が私に向かって「この店は開店以来カウンターを拭いていないんだ」それを聞きつけたバーテンが「何を言ってやがる。俺は45年も拭き続けている」確かにカウンターには、大量のビールがこぼれてびしょびしょ、ネタネタになっています。肘をつこうと思っても、服が濡れるので肘のつきようもありません。。。(今はNYCから衛生指導を受けて改善されています)
McSorley’s Old Ale House
5 E. 7th St, New York, NY 10003
https://mcsorleysoldalehouse.nyc/
こういったバーで最初に飲み物を頼むのは難しく感じるかも知れませんが、カウンターに行ってバーテンに気づいて貰えれば必ず注文を聞いてくれます。気づいて貰うには気長に待つか一生懸命アピールするかどちらかです。ご自分の性格に合わせて選んでください。ちなみに、PJ Clark’sはFrank Sinatraが常連だったお店で、その他にも有名人のエピソードが沢山あり、Mc Soley’sには歴代大統領が訪れています。NYの老舗バー、新しい店ができては潰れていく出入りの激しい街で、100年以上も続いているのには訳があるはずです。ぜひ訪れてみて下さい!
御所丸 富太
プロフィール:NYの奥深さをこよなく愛する京都生まれの元NY駐在員。趣味は料理、ギター演奏など。NYでの副業成功を夢見ている。