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共同通信
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世界中で「マエストロ」と尊崇を集めた小澤征爾さんが亡くなった。年輪を重ねていく中で膨らませていった望みは「世界に通じる才能」を育てること。時には病身を押して、若手奏者の育成に惜しみなく力を注いだ。
「年を取ると、教えたくなるんですよ」。記者にそう語っていた小澤さん。指揮者としての演奏活動と並行して「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」や「小澤征爾音楽塾」などを開いた。
同アカデミーには日本だけでなく海外の演奏家を招き、合宿スタイルで室内楽を指導。2010年に食道がんのために休養した後、復帰の舞台に選んだのも奥志賀だった。
「音楽塾」には人脈を生かし、講師に一流の音楽家を招いた。有望な若手奏者を集めてオペラを制作した。自身、斎藤秀雄やカラヤンら「先生に恵まれて」(小澤さん)世界の舞台に踏み出したことも理由だったのだろう。
世界的音楽祭「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」では、小学生向けの教育プログラムにも力を入れた。自ら育て上げた「サイトウ・キネン・オーケストラ」の世界ツアーも成功させた。