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共同通信
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能登半島地震で被災した石川県珠洲市蛸島町の酒蔵「桜田酒造」が、3月にも酒の仕込みを始める。倒壊した建物から酒米を発見。県内の別の酒蔵で設備を借りて醸造する段取りがついたからだ。杜氏である桜田博克社長(52)は「諦めていたが希望が見えた」と前を向く。
桜田酒造は年明けから仕込みを予定していたが、元日の地震で店舗や杜氏の住まいなどが倒壊。店舗に保管していた酒米も下敷きになった。昨年5月に珠洲市で震度6強を観測した地震で壊れた仕込み蔵は、修繕を終えたばかりだった。
今年の酒造りは絶望的だったが、1月18日にがれきの中から酒米を発見。保管していた約300俵のうち、水にぬれず残った半数近くを取り出すことができた。
親交のある同県白山市の「車多酒造」から協力の申し出があり、醸造施設を借りて酒の仕込みに取り組む。桜田さんは「米を無駄にせず、うれしい。場所が違っても大丈夫」と意気込む。
珠洲市蛸島町は漁師が多く酒をよく飲む地域とされる。桜田酒造の銘柄の一つ「大慶」は大漁を喜ぶ言葉から名付けられた。