「輪島塗」漆器店、復興へ一歩

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共同通信
東京国際フォーラムで開かれる「いしかわ伝統工芸フェア2024」に向け、品物を選ぶ「塩安漆器工房」5代目代表の塩安眞一さん=5日、石川県輪島市

 能登半島地震で被災した石川県輪島市の伝統工芸「輪島塗」の漆器店のうち9店舗が、16~18日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開かれる「いしかわ伝統工芸フェア2024」に出展する。断水で製作の中断を余儀なくされたり商品に傷が付いたりする被害に遭ったが、店主の一人は「復興への一歩にしたい」と意気込む。

 創業166年を迎える「塩安漆器工房」。5代目代表の塩安眞一さん(71)が、普段は商品を陳列していた部屋で、品物を一つ一つ手に取り、選定作業を進めていた。傷の有無をじっくり確認し、箱に詰めていく。

 「輪島塗は強くて美しい、高級な実用品。よほどのことがなければ割れない」。124工程という手間をかけ、丁寧に作る。最大震度7の揺れで棚から落下し、床に散乱しても割れてしまったものはごくわずかだった。

 今年で29回目を迎えるフェア。道路の寸断を懸念し、県は延期や中止を検討していたが「今だからやる」という地元漆器店の強い思いで開催が決まったという。

東京国際フォーラムで開かれる「いしかわ伝統工芸フェア2024」に向け、品物を選ぶ「塩安漆器工房」5代目代表の塩安眞一さん=5日、石川県輪島市