NHKに録音開示命令、東京地裁

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共同通信
判決後、記者会見する原告側代理人の沢藤大河弁護士(中央)ら=20日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 かんぽ生命保険の不正販売報道で日本郵政グループから抗議を受け、NHK経営委員会が2018年、当時のNHK会長を厳重注意した問題を巡り、元NHK職員ら約100人がNHKなどに経営委の議事録開示や損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は20日、議事の録音データの開示を命じた。

 またデータの開示義務を怠ったなどとして、NHKと19年から経営委の委員長を務める森下俊三氏に原告1人当たり2万円の賠償を命じた。委員長の職務に関する賠償命令は異例。NHKと森下氏は控訴の意向を示した。

 NHK側は経営委がデータを削除したと説明していたが、大竹敬人裁判長は削除されたと認められる証拠はなく「NHK役職員が現時点でも保有している」と判断した。

 森下氏については、19年10月に国会内で開かれた野党の合同ヒアリングに対応する過程で、職員から知らされるなどしてデータの存在を認識したと認定。それでも開示の措置を取らずに「原告らの文書開示請求権を侵害した」と指摘した。

 森下氏は判決を受け「既に存在しない録音データを交付せよという判決内容であり、遺憾」とのコメントを出した。