本郷弁護士の遺産計画TIPS
第1回 遺産相続の備え(前編)
はじめまして、弁護士の本郷友香です。このコラムを通じて、遺産計画や遺産相続についてのトピックスをお伝えしていきます。
皆さんは、晩年に備えた準備はされていますか?ご自身が亡くなられた際、ご遺族に遺産等に関する問題で迷惑をかけることを防ぐため、遺産文書等において整理整頓をしておくことをお勧めしています。今回は、遺産処理に備えておくためのポイントをお伝えします。
弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。
パスワードの記録を作成する
銀行やその他の金融口座にアクセス・ログインするためのパスワード。必要なパスワード等を文書に入力し、安全な場所に保管しておくと良いでしょう。また、そのような文書記録をコンピューターの中の安全なファイルに保存することも可能です。
ただし記録を保持することは漏洩のリスクも伴います。必要以上の方とは共有せず、遺産処理をする責務を負う配偶者や子ども等のみと共有してください。
また、電子的に受け取っている銀行口座明細等については、ご家族の方がどの金融機関に口座を所有されているのかをわかるように、明細をいくつかプリントしてファイルに保管しておくことも良いでしょう。
ご家族や弁護士がアカウントにアクセスできれば、遺産処理をスムーズに行うことができます。
資産をリストアップし、紙に整理する
現在の資産を全て文書にリストアップして保存しましょう。このようなリストは、資産の所有者に何かが起こった場合に、その家族や弁護士が資産内容を知るのに役立ちます。 家族や弁護士にとって、所在や詳細を特定できない資産においては、遺産処理を行うことが困難になります。 所有する資産の内容が時間の経過とともに変化するため、このようなリストは毎年更新することをおすすめします。ご家族にリストの場所を知らせておくこともお勧めです。
遺産相続の対象となる方のご家族が、対象者が亡くなった際に遺産の内容を把握できなかった場合、遺産処理が適切に行われない可能性があることにご注意ください。
トラストや遺言書等を含む遺産計画文書を作成する
トラスト(信託)や遺言書等を含む遺産計画文書をまだ作成されていない場合、そのような文書を作成しましょう。また、所有する不動産がTransfer on Death Deedの作成・登記を許可する州に所在する場合、その様なプロベート(検認手続き)回避に役立つ文書作成を弁護士に依頼することもできます。
遺産計画文書を既に作成していて、当初作成したトラストや遺言書に含まなかった新しい資産等が発生した場合は、それをトラストや遺言書に含めてもらうため弁護士にトラストや遺言書のアップデートを依頼することも可能です。
トラストや遺言書に入れそびれた資産は、トラスト資産として扱い、プロベートを回避すべきか、またはプロベートを回避できない資産として扱い、プロベートの対象になるのかが明確に判断できなくなってしまうことも含め、後に問題を引き起こす可能性があることにご注意ください。
当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。
本郷法律事務所
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