ENJOY! DAILY ADVENTURE IN NY!
New York のバーあれこれ②
~老舗バー(その2)~
こんにちは。御所丸です。東京ドームでTaylor Swiftを観てきました!さすが旬のミュージシャン。素晴らしいパフォーマンスでした。コンサートでは、周囲のお客さんの多くが海外の人だったのに驚きましたが、一緒に歌い続けるなど、一体感があり、非常に盛り上がりました。
今月もバーシリーズを続けさせて頂きます。P.J. Clarke’sを訪れたことをきっかけに、マンハッタンの老舗バーを調べたのですが、当時のリストが出てきましたので、ご紹介します。驚くべきことに、これだけ多くの老舗バーが独自の魅力を保ちながら、いまなお営業を続けているのです。
1817: The Ear Inn; 326 Spring St.
1854: McSorley’s Old Ale House; 15 E. 7th St.
1855: Keen’s Steakhouse; 72 W. 36th St.
1864: Pete’s Tavern; 129 E. 18th St.
1880: White Horse Tavern; 567 Hudson St.
1884: P.J. Clarke’s; 915 3rd Av.
1892: Old Town Bar; 45 E. 18th St.
1892: Fanelli Cafe; 94 Prince St.
~1817年創業のEar Inn~
上記のリストによると、現存するマンハッタン最古のバーは、 1817年創業の”Ear Inn”のようです(注:実は違いました。次回ご紹介します)。尋ねてみると、マンハッタンの南西の外れにあり、周りは倉庫が立ち並んで人通りが少なく、「どうしてこんなところに?」と思うようなところです。いまは寂れたような印象ですが、当時はHudson River川沿いに港湾施設が並んでいて、港湾関係の仕事に従事する人たちで賑わっていたようです。
元々このお店には名前がなく、”BAR”のネオンサインが目印でした。しかし、ネオンの一部が消え、BがEになって”EAR”に変わってしまったことで、お店の名前が”Ear’s Inn”となったとのこと。お酒は何でもござれのフルバーですが、”Ear’s Lager”という、このお店の名前を冠したビールがあり、なかなかの美味しさです。
老舗バーでは、いろいろなものが飾ってあるところが多く、眺めているだけで楽しいです。ある特定のモノを集めたりしているバーもあり、例えばMCSorley’sではFDNYのヘルメットが飾ってあります。京都サンボアでは大量の栓抜きが飾られていました。Ear Innでは、古い写真や新聞記事、バーにちなんだ面白い絵が飾ってあります。その中で”Rules of Civility and Decent Behavior”との書面が目に留まりました。そこには「とがめだてするような言葉を使うな」「人を指で差すな」「人の話に口ばしを突っ込むな」などのルールが列挙されていて、末尾には初代大統領George Washingtonの名前があります。
調べてみると、もともとはフランスの修道士によるもので、Washingtonが子供の頃、翻訳書を授業で書き写したのがきっかけで、それを生涯の規範にしたとのこと。ルールは110もあり、その多くがマナーに関するものです。こうしたルールを自分に課すことで、多分に荒くれ者だった(?勝手な想像です)建国当時の米国人を掌握できたんでしょうね。米国の憲法にも、少なからずこのルールが影響したんだろうなぁ。憲法の根底には、倫理と行動規範があるはずだし、なんて考えも湧いてきます。でも、それが酒場に飾ってあるのが面白いですね。誰がこのルールを掲げることにしたんでしょう?タチの悪い酔っ払いたちに、これを見せて「お前ら、初代大統領のルールを守れ」などと促す場面が目に浮かびます。
ぜひ老舗バーを訪れてみてください。そこには時代に耐えてきた古いものが残されているので、いろいろと想いを巡らせるきっかけになると思います。時代の最先端をずっと走ってきたニューヨークで、Ear’s Innが200年以上も続くには何らかの理由があるはずです。
御所丸 富太
プロフィール:NYの奥深さをこよなく愛する京都生まれの元NY駐在員。趣味は料理、ギター演奏など。NYでの副業成功を夢見ている。