子どもが地下鉄で物売り、取り締まれず
違法でも当局は消極的
ニューヨーク市内の地下鉄で、就学時間に物売りをする移民の児童が目につく。こうした児童労働は法に抵触する。しかし、当局は取り締まりに消極的だ。13日、ニューヨーク・タイムズが伝えた。
ブロンクスの地下鉄駅構内。コートを着た少女がチョコレートやガムを肩から下げたバスケットに入れて売り歩く。見たところ7、8歳。地下鉄利用者の1人がその映像を問題視し、Xに投稿した。6〜17歳は義務教育期間。14歳未満はほとんどの仕事に就くことができず、地下鉄内での販売には許可が必要だから違法行為だ。
こうした児童は越境者の家族。越境者は過去2年で18万人が市内に流入し、現在も約6万5000人がホームレスシェルターで暮らす。親は合法的に就労できず、法を無視した物売りが生活の糧を稼ぐ唯一の手段。「ワクチン摂取まで就学できない」「祖国でもやっていた」などの理由を挙げ、子供にも手伝わせている。
市教育局は「パトロールは市警察(NYPD)の責任」。NYPDは就学時に児童を見つけた場合はどうするかについての方針を明らかにしていない。州労働局は「労使間の問題ではない」。州子供・家庭サービス局も「育児放棄とは言えない」といずれも手をこまねいている。支援活動家は就学に関するセミナーを企画した。「頼れる人が他にいないのはかわいそう」と同情し、チョコレートを購入する地下鉄利用者もいる。