共同通信
昭和から平成初頭のゲームソフトを収集・保存する「北海道ゲームアーカイブ協会」が札幌市で発足した。家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」の全盛期に「ハドソン」などの会社が人気ソフトを数多く世に送り出した札幌。協会は「この地で栄えたゲーム文化を次の世代に継承していきたい」としている。(共同通信=小川悠介)
地元出身の自営業山本耕平さん(48)と北海道大大学院の学生が2023年10月に立ち上げた。コントローラーボタンの早打ちで有名な元ハドソン社員「高橋名人」こと高橋利幸さん(64)を招き、市内で12月に開催した記念イベントには、リアルタイムでファミコンを知らない若者の姿も見られた。
山本さんによると、欧米では昔のゲームソフトや関連資料を保護する動きが活発だが、国内では珍しい。これまでに集めたソフトはファミコンや「PCエンジン」、「メガドライブ」などの約3600本。特にファミコンは全1053タイトルをそろえた。関連書籍も約3500冊に上る。近く自宅内に博物館を、将来的には専用施設の開設を目指す。
山本さんがファミコンと出合ったのは小学3年の頃。大学入学後、単純な面白さが魅力のレトロゲームに改めてはまり、収集を始めた。札幌のIT企業に就職した後も熱は冷めず、収集・保存活動に本腰を入れるべく19年に退職した。
そこまで本気で取り組むのは「適切に保管しないと、ソフトの金属端子にカビが生えて駄目になったり、雑誌や攻略本が廃棄処分されたりしてしまう」ため。当時の業界関係者は高齢となり、開発秘話を聞いて記録することも難しくなりつつある。
動画投稿サイトでレトロゲームの実況配信が人気を集め、若い世代でファミコンへの関心が高まっている。山本さんは「活動を通じ、世代を超えたコミュニティーの構築にもつなげていきたい」と期待を込めた。