政治腐敗は極致、経済は衰退の一方  なのに、国家ブランドは世界一という不思議!(上)

(この記事の初出は2024年2月27日)

 いまの日本の政治を見ていてつくづく思うのは、日本の衰退を止めよう、なんとかして日本を立て直そう—-そういう政治家が1人もいないことだ。与野党ともに、政争に明け暮れているだけで、時間ばかりが浪費されていく。
 統一教会問題、裏金問題は政治家と政治への信頼を大きく損なったにもかかわらず、自民党は解決しようともしない。このままでは、日本の衰退は止まらない。GDP4位転落、空前の円安は当然の結果だ。
 ところが、こんな日本の国家としてのブランドは世界一というから驚く。世界はいったい日本になにを見ているのだろうか? 私自身つくづく思うが、近現代史を振り返ってみると、日本ほど不思議な国はない。この1世紀半で、これほどアップダウンが激しいのはなぜなのだろうか?

政治家に倫理を求めるほど愚かなことはない

 飲食なしの擬似パーティで、せっせと「裏金」づくり。これが、昨年来明らかになった政治家の実態だ。そのカネの行方は、その多くが選挙対策費で、選挙区や支援団体にバラまかれる。
 日本の政治は、カネ、コネ、序列、縁戚の世界であり、これがずっと続いている。これでは、「失われた30」年になるのは当然かもしれない。
 先週来、「政治倫理審査会」(政倫審)を巡って与野党の攻防が続いているが、そもそも政治家に倫理などないのだから、審議などしても意味がない。政治家に倫理を求めるほど愚かなことはない。
 と、こんなことを書いてみても、次の選挙で自民党が下野することはないだろう。野党も含めて日本の政治体制は「エセ民主主義」(一部の人間しか選挙に行かない)だからだ。投票率が5割を切り、その5割の過半数に満たなくともトップなら当選できるのだから、民意など反映されない。

パーティ三昧で資金を集めまくる小泉進次郎

 これがわかっているから、若手の改革派、自民党のプリンスとまで称される小泉進次郎も、パーティをやめない。「週刊ポスト」の報道によると、2月6日、港区内のホテルで「小泉進次郎セミナー」と称する資金集めパーティが開催され、会費1人2万円で満席(400人)となり、800万円を売り上げたという。もちろん、飲食なしだ。
 小泉進次郎のパーティ三昧はよく知られている。
 小泉の資金管理団体「泉進会」の政治資金収支報告書によると、2022年には「小泉進次郎セミナー」や「進進会」という名の会合、政経文化パーティなどを合計12回も開催している。毎月1回の割合で、総額8578万円の収入を得ている。ここから経費を引いた利益は、約6476万円。利益率はなんと約75%である。
 岸田文雄首相は、派閥解消を図り、派閥パーティを禁止した。しかし、政治家個人、政治団体がやるパーティはそのまま放置している。「政治改革」など“茶番”だ。

(つづく)

 

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※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

 

 

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