本郷弁護士の遺産計画TIPS
第2回 遺産相続の備え(後編)
こんにちは、弁護士の本郷友香です。このコラムを通じて、遺産計画や遺産相続についてのトピックスをお伝えしていきます。
前回、遺産処理に備えておくためのポイントをお伝えしましたが、「トラスト」「プロベート」「Transfer on Death Deed」など聞きなれないワードがでてきたと思います。今回はこれらについて解説します。皆さんは、晩年に備えた準備はされていますか?ご自身が亡くなられた際、ご遺族に遺産等に関する問題で迷惑をかけることを防ぐため、遺産文書等において整理整頓をしておくことをお勧めしています。今回は、遺産処理に備えておくためのポイントをお伝えします。
弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。
トラストとは
トラストとは、その書面上任命される受託者(Trustee)が、トラストという「箱」の中に入れた資産を、受益者(Beneficiary)のために管理するための書面です。
●トラストを作成するメリット
1.プロベート(検認手続き)を回避できる
トラストを作成することにより、プロベートという、裁判所に遺族への遺産処理を委ね、長期的に時間が掛かってしまう手続きを回避することができます。
2.プライバシーを守ることができる
プロベートと異なり、トラストの内容は公にされることはありません。
3.自身の資産管理ができる
トラストを作成することにより、遺産が誰に、どの様に分配されるかを、ご自身で管理することができます。
プロベートとは
プロベートとは、裁判所を通じて、故人の資産を相続人に分配するプロセスを指します。プロベートは裁判所の手続きを伴うため、手続きに1年から3年かかることもあり、時間もお金もかかります。以下の文書を作成することによって、プロベートを回避することができます。
1.トラストを作成すること
トラストという、故人の資産分配に関する指示を綴った文書を生前作成しておいた場合、プロベートを回避することができます。
2.Transfer on Death Deedを作成すること
Transfer on Death Deedという、不動産の所有者が生前、自身が亡くなった際に不動産を引き継いでもらう受取人を指定する文書を作成しておいた場合、プロベートを回避することができます。 Transfer on Death Deedとは Transfer on Death Deedとは、不動産の所有者が生前、自身が亡くなった後の受取人を指定できる特殊な譲与証書を指します。不動産の所有権は、元々の所有者が亡くなった際に、初めて受取人に譲渡されます。
●Transfer on Death Deedの作成に適している方
Transfer on Death Deedは、トラストよりも簡易的な文書であるため、不動産のみの資産を所有される方に適しています。また、アメリカの非居住者や、不動産が所在する州に住んでいない方は、Transfer on Death Deedの様な簡易的な文書を作成することで、相続対策ができます。
当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。
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