イスラエルの空爆で職員7人死亡
現地の料理で被災者励ますNPO
パレスチナ自治区ガザで2日、非営利団体(NPO)「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の車両がイスラエル軍の空爆を受け、職員7人が死亡した。同日、ニューヨーク・タイムズが報じた。
WCKは2010年、ニューヨークのカリスマシェフ、ホセ・アンドレス氏が設立した。地震で壊滅的な被害を受けたハイチの避難者キャンプで、地元の人々が同氏に豆料理の作り方を教えたのがきっかけ。被災者にとって温かい郷土料理がなによりの励ましになるということを自覚した。それから地元シェフを動員し、郷土料理を作って提供するというユニークな慈善活動を世界各地で展開している。
政府による救援インフラが崩壊したガザでの活動は今年3月に開始した。世界中から集まったボランティアとパレスチナ人約70人が60カ所でキッチンを開設。レンズ豆と米を炊いて玉ねぎソテーを加えた「ムジャッダラ」と呼ばれる地元の料理を振る舞った。
WCKの戦地での活動はウクライナに次いで2カ所目。正式な安全マニュアルがないなどの懸念はあった。今回死亡した7人は米加二重国籍者と英国、パレスチナなどの出身者だ。「彼らの家族、友人、WCKの仲間たちのことを思うと、胸が張り裂けそうだ」とアンドレス氏はX(旧ツイッター)に投稿。ガザでの活動を中止した。爆弾の降る中で、死と隣り合わせの慈善活動。その厳しい現実を浮き彫りにした。