捨てられる硬貨、年間6800万ドル
キャッシュレス決済主流で邪魔
全米で硬貨が捨てられている。その金額は推定年間6800万ドル。サステナビリティーを目指すゴミ償却業者「リワールド」は7年前から硬貨を分別して今までに1000万ドルを回収した。
カードやスマートフォンを使ったキャッシュレス決済が主流になった今、硬貨はかえって邪魔。空港のチェックポイントなどに置き去りにされていることも多い。「1セント硬貨(ペニー)をなくしても、探すことはない」と指摘し、製造に3倍のコストがかかるペニーの廃止を主張する経済学者もいる。
大手を振って使える場所も減り、硬貨の半分以上は家のどこかに眠っているという。買い物の代金を硬貨で払えば、レジの進行を止め、列に並んでいる他の客から怒られる「レジハラ」の懸念がある。硬貨計算機を置いている銀行は少ない。スーパーに設置されている「コインスター」で両替をすれば使用料を取られる。
一方、他人のゴミは私の宝。サラ・イルゼさんと夫のジャスティンさんはペニー6万5507枚を床材に使った。その作業の模様をSNSに投稿して注目されている。リワールドの従業員は価値の高い「バッファロー5セント硬貨(ニッケル)」を収集する。スーパーバイザーのアンジェロ・ゲラシーさんは「子供の頃、見つけると興奮した。稀にしか手に入らないからだ。ここでは瓶にいっぱい詰まっている」と話している。(17日、ウォールストリート・ジャーナル)