本郷弁護士の遺産計画TIPS
第3回 遺産相続時の「配偶者控除」
こんにちは、弁護士の本郷友香です。このコラムを通じて、遺産計画や遺産相続についてのトピックスをお伝えしています。今回は米国における遺産相続時の「配偶者控除」について解説します。
弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。
はじめに
米国の法律上、無制限の配偶者控除により、故人は米国で遺産税(Estate Tax)を支払うことなく、死亡時に無制限に資産を生存配偶者に相続させることができます。
米国の無制限配偶者控除とは
無制限配偶者控除の制度により、亡くなった配偶者の資産を生存配偶者へ無制限に相続させることができます。遺産税や贈与税が課されることはありません。当制度は死亡時だけでなく、いずれかの配偶者の生前譲渡にも適用されます。
ただし、この無制限配偶者控除は、生存配偶者(すなわち、故人の資産の受取人)が米国市民である場合にのみ適用されます。 例えば、亡くなった配偶者が米国市民であり、生存配偶者が米国市民でない場合、故人の資産が遺産税の免除額(2024年においては1361万ドル)を超えている場合、IRSに遺産税を支払わなければならなくなります。
このような場合においての遺産税の支払いを回避するため、既婚夫婦は弁護士と相談してQualified Domestic Trust (QDOT)を作成することが可能です。
なお、遺産税の納税義務者は、被相続人(亡くなった方)になりますが、前回のコラムで解説したプロベートの手続き中、遺産処理をするために任命された執行人が、被相続人に代わり、納税等を含む諸々の遺産相続処理を行うことになります。
Qualified Domestic Trust (QDOT)とは
QDOTは、米国市民でない遺族が婚姻控除を受けるために設定する信託です。これにより、米国市民と結婚した非米国市民は、無制限の婚姻控除を受けることができ、被相続人の遺産が死亡時に連邦課税されるのを防ぐことができます。米国市民でない生存配偶者は、QDOTを通じてその信託内の資産の婚姻控除を保持することができます。
まとめ
配偶者が亡くなった時のために備え、生存配偶者としてどの様な控除を受けることができるか等について知っておきましょう。配偶者控除についての知識を深めることをお勧めします。
当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。
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