ニューヨーク日本人学校

04/26/2024

ニューヨーク日本人学校

ニューヨーク日本人学校は、主な学習内容を文部科学省による学習指導要領に基づいて行っている。そのため、日本の学校と似ているところが多く、運動会やスクールフェスティバルなど、学校を代表する行事のほとんどを実施している。全校児童生徒は、およそ90名で初等部と中等部の生徒たちが同じ校舎で学校生活をおくっている。生徒たちが行事や集会を一緒に行うことで、異年齢での交流を持つ機会が多いのも魅力の一つだ。そういった場では上級生が下級生のことを気遣い、どのような活動が適切かを考え行動に移している。彼らが一緒に楽しく活動することで、思いやりを持つ心の育成を図ることができている。

在外教育施設であるため欠如しがちなアイデンティティーについては、教職員が工夫を凝らした授業で環境を整えている。日々の授業では、日本と同等の学習内容を実施することで、日本人の考え方を身に付けている。そのほか、日本の伝統文化的行事の体験などを行うことで日本文化の理解を深めている。これにより、生徒一人ひとりが自己の個性の中に日本人としての軸（アイデンティティー）を築き、心身ともに強く成長することができる。将来は日本人として国際的に活躍してほしいと願っている。

また、海外における日本人教育として、英語教育、現地理解教育の推進、本物に触れる教育、といった３点を意識している。英語教育については、初等部は週４時間、中等部は週５時間の英語の授業を実施。現地理解教育としては、社会科や理科の校外学習、宿泊学習や修学旅行におけるアメリカの自然や歴史の学習、アート科では、ニューヨークにある美術館や近隣にある大学の美術館を訪問してアート作品の鑑賞を実施し、本物に触れる体験を積極的に行なっている。

そのほか、コネチカット州グリニッチに設立されている立地条件を生かし、アメリカのプライベートスクールの一つとして、日本人としての教育と国際性を身に付ける教育を並行して行っている。その代表的な取り組みが、学年ごとの学校間交流である。相手校への訪問時には現地の生徒たちと協働で取り組むプログラムを体験し、本校への招待時には日本文化を発信して交流を深めている。このことは生徒たちのグローバルな感覚を育てるためにとても大切な体験活動として位置付けられている。

現在、英語科では、英語の一部の授業でSTEAM教育を取り入れ、様々な分野で使われている言葉を英語で学び、より日常での英語力の向上を目指している。また、アート科ではイマージョン教育を実践しており、子どもたちの自由な発想を育成し、伸ばす取り組みを進めている。今後STEAM教育をさらに強化し、グローバルな時代にふさわしい教育を進めていく。

学外での課外活動

国際連合日本代表部を訪問

6・9年生が社会科移動教室において、国際連合日本政府代表部を訪れた。国際連合日本政府代表部では、難波書記官からお話を伺った。はじめに、国際社会における日本の役割として、世界の人々が平和に暮らすための社会の秩序を守り、強化するということを教えていただいた。また、グローバル人材になるために今からすべきこととして、興味や関心のあることに熱心に取り組み、それが将来的にどこかで世界に結びつくということであった。質疑応答の際には、多くの児童生徒が積極的に質問をし、それらについて難波書記官に丁寧にお答えいただいた。今回の訪問では、世界がどのようにして協調していくべきなのか、また国際社会で日本が大きな役割を担っていく上で、自分たちに何ができるのかなどを考える大変貴重な機会となった。

Yale University Art Galleryを訪問

４年生が、Art科の移動教室でYale University Art Galleryを訪れた。前半は、ミュージアムエデュケーターに案内してもらいながら館内をまわった。はじめに現代アートの絵画を、その後アジアの美術に関するコーナーで観音菩薩を鑑賞し、最後にゴッホの絵画をじっくり見た。それぞれの作品の気になった所や面白いと感じた所をスケッチし、エデュケーターの案内のもと、なぜそれをスケッチしたのか、それは何を表しているのか等、みんなで考えたり想像したりしながら、アート作品に親しんだ。後半には、ペアごとに館内をめぐり、自分の心がひかれた作品を見た中で、心に残った物を各々が一生懸命スケッチした。見学の終了時には「もっと他の作品も見て回りたい」「家族でもう一度来てみたい」という声があがるほど見学時間をあっという間に感じていた様子で、本物のArt作品に親しむ良い機会となった。