ENJOY! DAILY ADVENTURE IN NY!  New York のバーあれこれ③ ~老舗バー(その3)~


ENJOY! DAILY ADVENTURE IN NY!

New York のバーあれこれ③
~老舗バー(その3)~

こんにちは。御所丸です。日本に戻ってから京都と東京を行ったり来たりしているのですが、特に京都では、いまやどこに行っても外国人だらけです。観光客の数では、まだまだニューヨークには敵わないと思いますが、確実に増え続けていて、日本人の方が窮屈で肩身の狭い思いをしているように思えます。

今月もバーシリーズを続けさせて頂きます。P.J. Clarke’sから始まった老舗バー探訪の最終回です。                            

ある夜、行きつけのTomi Jazzに行ってLive Musicを楽しんでいたところ、顔見知りの弁護士を見かけたので、話しかけました。彼はNY生まれ・NY育ちなのですが、日本が大好きでTomi Jazzにもたまに来ているとのこと。いろんな話をしていて(例えば、当時、幾つも建ち始めた細長いPencil Buildingのことを彼の友人たちの間では、全くNYらしくなくて景観が台無しだ、だからMiddle Finger Buildingと呼んでるんだ、など教えてくれました)、彼のお奨めのお店を紹介して貰うことになりました。バーのいいところも教えて貰おうと、持ち歩いていたNY老舗バーのリストを見せて、一番古いEar’s Innに行ってきた、と話したら、いやいや、Ear’s Innではなく、もっと古いバーがある、Fraunces Tavernに行け、とのこと。

早速訪れてみました。さすがに古いバーです。マンハッタンの開拓が始まった場所なんでしょう、Financial Districtの南端でBattery Parkの近くにあります。歴史を感じさせるレンガ造りのどっしりとした建物です。中に入ると、右側には、木製のテーブルと椅子が並ぶ広いレストランがあり、左側すぐのところには、世界各国のウィスキーのコレクションを誇る小ぶりなWhiskey Barがあります。奥に進むと、立派なバーカウンターが1つ、さらに奥にまた1つ、と続いていて、プライベート・パーティが出来そうな小部屋も幾つかあります。天井が高く、むき出しの木の梁や、つるつるになった木の床が歴史を感じさせます。階段があったので、 2階にも行ってみると、さらにそこにもバーカウンターがあり、小部屋がありました。相当広いのですが、大賑わいでどこも人で溢れており、なかなか落ち着くところを見つけ、注文することが出来ません。

調べてみると、現存するニューヨークで最も古い建物の一つで、 1719年に建てられました。私のリストでは最古だったEar’s Innが1817年なので、それよりもさらに100年も昔の建物です。アメリカ独立戦争時には、ジョージ・ワシントンが軍の司令部として使用し、英国軍との和平交渉が行われ、独立後には、総務省や財務省などのアメリカ政府最初期の省庁が置かれたとのこと。博物館も併設され、植民地時代・独立戦争・初期政府のコレクションがあり、ワシントンにまつわる記念品が沢山展示されています。看板にもワシントンの横顔がシルエットで描かれています。何とそんな所だったとは!


ある夜、閉店ギリギリまでバーで飲んでいたことがあり、掃除を始めた店員さんに、この建物の中で何が一番古いの、と尋ねてみたところ、レストランの方に連れて行かれました。”City of New York 1717”の題がついている大きな絵が飾られています。NYを海側から描いた絵で、多くの帆船が往き来し、港にはびっしりと建物が並んでいます。この絵か、と聞くと、そうではなく、奥の方の壁が創建当時のものとのこと。ソファの陰に隠れていてあまりよく見えませんでしたが、確かに古そうな壁でした。。。

Fraunces Tavernは、当初は全くバーなどではなかった訳ですが、由緒ある建物が改装され、いまでは趣のあるバーとレストランになり、大繁盛しています。ジョージ・ワシントンがもし見たら、ビックリするでしょうね。

NYは時代の最先端のモノ・コトが溢れていますが、古いものも案外残っています。時代時代に合わせて形を変え、新たな価値を見つけ出され、使われることで残ってきたのでしょうね。米国建国の理念や独立当時の人たちに想いをはせ、雰囲気のよいバーでお酒を楽しむのは格別です。ぜひ一度お立ち寄り下さい。

御所丸 富太
プロフィール:NYの奥深さをこよなく愛する京都生まれの元NY駐在員。趣味は料理、ギター演奏など。NYでの副業成功を夢見ている。