世界的な出生率低下、人類史上初 人口減少が始まる懸念 

 

世界的な出生率低下、人類史上初
人口減少が始まる懸念 


出生率は各国で急速に低下している(写真はイメージ)

 

出生率の低下が世界的な傾向となっている。少子化で、労働人口の減少、経済成長の鈍化、年金や健康保険の資金不足、過疎化、大学の定員割れなど深刻な問題に発展する懸念が生じている。13日、ウォールストリート・ジャーナルが報じた。

女性が生涯に何人の子どもを産むかを示す合計特殊出生率。世界平均は2017年に2.5だった。国連によると21年には2.3まで低下。23年は2.12.2まで下がったとの予想もあり、人類史上初めて人口置換水準を割り込んで世界で人口減少が始まる懸念がでてきた。

国連も世界人口予想を下方修正。17年には76億人から2100年には112億人に増えるとしていたが、今では80年代に104億人でピークを迎えるとしている。61年に95億人に達し、その後は下り坂になるとする専門家もいる。

米国の合計特殊出生率は昨年1.622007年には2.1だった。メリーランド大学の経済学者、メリッサ・カーニー氏は「夫婦は子育てよりもキャリアを積んだり、レジャーを楽しんだりすることを選考するようになっている」と指摘する。子育てに時間と費用がかかるのも事実。高齢の親の面倒との板挟みになることもある。

インドでも人口置換水準を割り込んでいる。インターネットを通じ「少子・生活の質向上」の文化が普及しつつあるからだ。ムンバイ在住のマエ・マリヤム・トマスさん(38)は、音響関連会社を経営。母親になることに魅力を感じなかった。友人も結婚を遅らせたり、出産前に離婚したりしており、少なくとも3人が卵子を凍結保存しているという。サハラ砂漠以南のアフリカでも現代的避妊方法を利用している女性は、12年の17%から22年の23%へと増加した。

1990年代初めに合計特殊出生率が1.5に落ちた日本。2005年にはわずか1.26だった。政府が少子化対策を実施して、15年には1.45まで回復したが22年は1.26に逆戻り。児童手当の増額や多子世帯の高等教育機関無償化を打ち出し、共働き・共育てへの働き方改革を提唱する。ハンガリーでは子供のいる30歳未満の女性に対し生涯所得税を免除。住宅や育児支援金も支給している。

米国は少子化対策を明文化していないが、トランプ前大統領は「ベービー・ボーナス」支給に前向きだ。ただこうした政策が長続きするかは疑問。女性は出産を早めてボーナスをもらい、その後出産を控える可能性がある。奥の手は移民促進。しかし、人口が増える国があれば減る国もあり、世界的に見ればゼロサムゲーム。非熟練労働者が違法に流入し、移民規制の引き金となるから逆効果だとの指摘もある。

 

→ニューヨークの最新ニュース一覧はこちら←

タグ :