本郷弁護士の遺産計画TIPS
第4回 遺産相続時の「米国の死亡証明書と日本の除籍謄本の比較」
こんにちは、弁護士の本郷友香です。このコラムを通じて、遺産計画や遺産相続についてのトピックスをお伝えしています。今回は死亡の証拠となる「米国の死亡証明書と日本の除籍謄本の比較」について解説します。
弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。
はじめに
死亡の証拠となる死亡証明書は、遺産計画・処理の対象となる故人が亡くなったことを十分に証明するため、プロベート裁判所にそれを提出する、またはトラストがある場合は、後任のトラスティー(受託者)に引き継いでもらうための書類等を作成すること等を含む遺産計画、または遺産処理の目的を遂行するために、重要な書類になります。
米国の死亡証明書
無米国の死亡証明書は通常、緑色の1ページの用紙に、故人の名前、死亡日時、死亡の理由やソーシャルセキュリティー番号等の情報が記載されたものになります。通常の場合、故人が亡くなられた市、または群の検死官が、死亡証明書に署名をして、その証明書を市、または群に所在する“Vital Records Office”に提出します。
故人の遺族は、故人の葬儀を担当した葬儀屋に、死亡証明書の原本を注文することができますが、“Vital Records Office”から直接注文することもできます。実際には、葬儀屋は死亡証明書を注文することに慣れているため、故人の遺族は、葬儀屋に注文をお願いすることが多いです。入手後、遺族は注文された死亡証明書を、故人の遺産処理等を担当する弁護士に提出することができます。
日本の除籍謄本
米国で発行される死亡証明書と同様、または同等の死亡証明書は日本に存在しません。日本では誰かが亡くなりますと、その故人は戸籍謄本から除籍されます。故人の戸籍からの排除は、「除籍」と除籍謄本に記され、これは故人の死亡を示し、戸籍謄本をアップデートする結果を及ぼします。米国でプロベートを開始する際、除籍謄本を英訳し、プロベート裁判所に提出することができます。場合によっては、英訳にアポスティーユ手続きも必要になります。
まとめ
米国での遺産処理に備えるため、米国の死亡証明書の注文方法と、故人が米国以外の国で死亡した場合には、米国の死亡証明書に相当するものとして、どの書類を提出すれば良いのかを知っておくことは良いことです。
当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。
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