100万世帯、高速ネット接続失う恐れ
連邦政府補助金の財源ひっ迫
ニューヨーク市内の約100万世帯で今月末にも高速インターネット接続を失う恐れが出てきた。連邦政府による貧困層向け補助金の財源が底をついたからだ。28日、ゴッサミストが伝えた。
コロナ下の2021年、連邦議会はインフラ投資法案を可決。その中に「アフォーダブル・コネクティビティ・プログラム(ACP)」が含まれていた。貧困層に対し高速インターネット接続料金の補助を行う制度だ。当時市民850万人中4分の1が高速インターネットにアクセスがなかった。特にイーストハーレムやジャージーシティーなど公共住宅(NYCHA)が林立する地区で、高速インターネット接続を持たない住民が多く、貧富の差の1つとして問題視された。
現在イーストハーレムやサウスブロンクスの3分の2の家庭がACPによる補助金を受けており、ブロンクス内では約44%に上る。非営利団体「センター・フォア・アン・アーバン・フューチャー」のディレクター、エリ・ドボルキン氏によると「約100万世帯が自腹を切らなければならなくなる。非常に困難な状況に直面する」と指摘している。
コロナ下はもちろんコロナ後も、リモート学習、リモートワークには高速インターネット接続が欠かせない。各種福祉サービスの申し込みを含め、貧困からの脱出に必需となっている。そこで、連邦議会内でも超党派で財源確保に向けた努力が行われている。ベライゾンは貧困層に割引料金を適用する意向。オプティマムも生活保護家庭に月額15ドルを提示しており、政府に補助金継続を働きかけるよう呼びかけている。
NYCHAの住民は市が運営する「ビッグ・アップル・コネクト」を通じてインターネットに無料アクセスがある。予算は9000万ドル。当初はACPと重複すると批判があったが、住居内と携帯機器に使い分けている住民もいる。ただし永続的なプログラムではなく、25年に終了する可能性がある。