文無し移民からステーキハウスのオーナーへ ジャック・シナナジさんのアメリカンドリーム 




文無し移民からステーキハウスの
オーナーへ
ジャック・シナナジさんのアメリカンドリーム

 

ミッドタウンの人気ステーキハウス「エンパイヤ・ステーキ・ハウス」。その共同オーナーのジャック・シナナジさん(53)はアメリカンドリームを達成した移民として知られる。

ジャックさん(右)と共同オーナーで兄弟のジェフさん(写真提供:Empire Steak House)

「入国時に米国のパスポートを使ったけれど、貼ってある写真は私のではなかった」とシナナジさん。実は、不法移民だったのだ。「入国に9000ドルもかかった。その結果、一文無し。それどころか、稼いで借金を返さなければならなかった」と明かす。 

出身はモンテネグロ。ユーゴスラビア解体で成立したバルカン半島の小国だ。その際、内戦が勃発。共産主義の政府が「全てを所有。職もなく、チャンスもない。皿洗いは一生皿洗いで終わる」。19913月、夢を抱いて国を出た。 

ニューヨークに到着した時は20歳。ブロンクス・モリスパークの小さなアパートに家族10人で暮らす。「ドラッグストアのCVSが私の病院。滞在許可がなかったから本当の病院に行けなかった。見つかれば、強制送還されると思った」と当時の苦労を振り返る。

兄のラスさんにならって、ウエイターを補助するバスボーイから始め、バーテンダーへ出世した。93年にはピザ屋を開業。その2年後にはピザ屋を売り、「ピーター・ルーガー・ステーキハウス」に職を得て、修行を積んだ。

そして2005年、44丁目に「ベン・アンド・ジャック・ステーキハウス」をオープン。10年には3兄弟で「エンパイヤ・ステーキ・ハウス」をオープンし、今では、合計7店舗、230人を雇用。17年には東京の六本木にも進出を果たした。その間、06年には米国市民権を獲得。夢をかなえた。 

17年にオープンした六本木店の祝賀会での写真(写真提供:Empire Steak House)

「よりよい生活を求めて」の移民は、ニューヨーク市に流入する不法越境者と共通するものがある。「ルールに従って、正しいことを行うこと。列ができていれば、根気強く列に並ぶ。そうすれば誰にも文句は言われない」とシナナジさんはアドバイス。「ニューヨークは世界一の都市。成功を信じて、自分を駆り立てる。必ずチャンスをものにできる」と続けた。(327日、ニューヨークポスト 

 

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