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共同通信
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北海道北斗市の「沢田米穀店」がポン菓子の輸出に取り組んでいる。自社工場を整備し、油や添加物を使わない製法を開発。「赤ちゃんから食べられる」とPRし、東南アジアを中心に売り上げを伸ばしている。国内のコメ消費が落ち込む中、政府も海外市場開拓を推進していて、経営する沢田導俊(みちとし)さん(44)は「安全なお菓子を食べさせたいという世界中の親心に応えたい」と語る。(共同通信=瀬尾遊)
1915年創業。家族経営で4代目店長の沢田さんは2017年、息子が生まれたのを機に「安心して食べさせられるものを」と思い立ち、2018年にポン菓子「ふっくりんこJAPON」の製造を始めた。
農薬や化学肥料をなるべく抑えた特別栽培の道産ブランド米を使用。お湯を注げば離乳食になる上、油を使わないことで賞味期限が通常の4カ月から1年に延び、手続きに時間がかかる海外へ売り出せるようになった。
同年、試しにベトナムへ輸出すると、子育て世帯を中心に反響は上々。マレーシアや米国にも販路を広げ、2020年に約1500袋だった輸出量は2023年に10倍超の約2万袋まで増えた。
店は2022年、加工食品に関する「有機JAS」認証を取得。原材料や製造工程などの基準を満たす必要があったが「小さな米穀店だからこそ、目の前の菓子がたどった道を把握しやすい」と胸を張る。
農林水産省によると、国民1人当たりのコメの年間消費量は1962年度の118.3キロから、2022年度は50.9キロまで落ち込んだ。一方、欧米では健康志向の高まりから小麦を使わないグルテンフリーの市場が拡大し、コメや米粉などが代替品として注目されているという。沢田さんは「お米の魅力を子どもから大人まで、国境を超えて多くの人に知ってもらえたら」と語る。