地下鉄内、マスク覆面禁止を検討
顔を隠した抗議行動は「卑怯な責任逃れ」
ニューヨーク州のホークル知事は13日、ニューヨーク市内の地下鉄内でマスク着用の一部禁止を検討中であることを明かした。13日、ゴッサミストが報じた。
10日の週初め、地下鉄内でマスクやパレスチナ伝統のスカーフ「ケフェエ」で顔を隠した反イスラエル主義者が過激な抗議行動を実施。その様子がSNSで拡散した。これを行き過ぎと判断したホークル氏は、地下鉄内で健康や宗教上の理由を除き、マスクによる覆面を取り締まりたい意向で、アダムズ市長や州議会議員らと調整している。ハロウィーンなど文化的イベントの際のマスクも例外とする考えだ。
ホークル氏は記者会見で「マスクで顔を隠すのは卑怯な責任逃れ」と指摘。「マスクに隠れて犯罪を犯したり、威嚇したりすることは許せない」と訴えた。アダムズ市長もラジオ番組の中で、今回の抗議行動をクー・クラックス・クラン(KKK)による黒人を標的とした脅迫と同類と断じ、「キング牧師は顔を隠さなかった。KKKは顔を隠した」と批判した。
ニューヨーク州には「マスク、不自然または特異な服装や覆面を着用して、徘徊したり、公共の場にとどまったり、集会を開くことを禁じる」法律が存在した。1845年に成立しており、2000年代初め、KKKが無効を裁判所に訴えたが負けたという経緯がある。
しかし、コロナが始まった2020年、当時のクオモ知事のマスク着用義務と抵触すること、ジョージ・フロイド事件を発端とする「黒人の命は大切(BLM)」運動が激化したことなどから、州議会は20年6月この法律を廃止している。
したがって、マスク覆面禁止を実施するには、新たな州法が必要となる。州議会は24年度の会期を終えており、議員が戻るのは7月になる見込み。ホークル氏は「リセットすべき時が来ている」と述べ、できるだけ早く新法を成立させたい意向だ。