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共同通信
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幕末の思想家、吉田松陰の生涯をろう人形で伝える「吉田松陰歴史館」(山口県萩市)が昨年11月、リニューアルオープンした。改修前と比べ来館者が2倍近く訪れるようになったといい、松陰の生きざまに思いをはせることができる観光スポットとして人気だ。(共同通信=簑口典華)
松陰神社の境内にある歴史館は、幕末の動乱期を生きた松陰が安政の大獄で処刑されるまでの生涯を17の場面に分け、70体以上のろう人形で再現。鎖国下、黒船が停泊していた静岡県下田市で海外への密航を企て失敗した「下田踏海」の場面では、壁のスイッチを押すと松陰を乗せた船がゆらゆらと動き出す仕掛けで臨場感を出している。
旅行で友人と佐賀県から訪れた会社員の女性(27)は「激動の人生が再現されていて見応えがあった」と話した。
1958年に建てられた施設は老朽化が進んだため昨年5月、改修に着手。過去に民放で放映された松陰のテレビドラマを流すモニターを新たに設置したほか、外国人観光客を呼び込もうと、場面ごとにQRコードを置き、スマートフォンやタブレットで英語の解説文を読めるようにした。
このほか、伊藤博文や山県有朋ら山口県ゆかりの歴代首相8人のろう人形を展示している。2022年の銃撃事件で犠牲になった安倍晋三元首相の等身大の人形に着せられたスーツやネクタイは生前身に着けていたもので、妻の昭恵さんから寄贈してもらった。
境内には、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の一つで、松陰が指導に当たった私塾、松下村塾も現存する。松陰神社の上田俊成名誉宮司は「多くの人に松陰先生の生涯や考え方を知ってほしい」と話した。
歴史館は午前9時から午後5時までで、年中無休。入館料は大人500円、中高生250円、小学生100円、未就学児無料。