本郷弁護士の遺産計画TIPS 第5回 米国非居住者の遺産税申告書の提出

 

本郷弁護士の遺産計画TIPS
第5回 米国非居住者の遺産税申告書の提出

 

こんにちは、弁護士の本郷友香です。このコラムを通じて、遺産計画や遺産相続についてのトピックスをお伝えしています。今回は米国市民でない非居住者の、米国内に所有する資産にかかわる「遺産税申告書の提出」について解説します。

弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。

はじめに

米国市民でない非居住者も、米国内に所在する資産については、米国の遺産税の対象になる可能性があります。米国内に所在する不動産、現金や有価証券、保険等を含む資産は、米国の遺産税の対象となり得ますので、申告や控除に関する知識を深めましょう。

非居住者の申告要件

非居住者の遺産税の計算においては、米国内に所在する資産の総額と、米国外にある資産の総額を申告し、それを合算した「総遺産」を算出することになります。米国内に所在する資産に由来する総遺産の一部が6万ドルを超える場合、死亡した非居住者の執行人は、フォーム706-NAという非居住者のための遺産税申告書をIRS(内国歳入庁)に提出する必要があります。延長申請によりIRSの事前許可を得る場合を除き、フォーム706-NAは、非居住者の死後9カ月以内に提出する義務があります。

非居住者の遺産税を軽減する方法

遺産税の対象となる非居住者は、遺産税の支払額を軽減することを希望されることと思います。米国と諸外国において存在する租税条約等は、米国国内に所在するとみなされ、遺産税の対象となる資産の種類を制限し、非居住者の遺産税の支払いの軽減に役立つ場合が多いです。米国は日本と租税条約を結んでいるため、日本の非居住者は、その条約の条項等を確認し、遺産税の支払義務を軽減することができるのかを確認することができます。条約の適用により、優遇税制を受けることができる場合もあります。これにより相続人の負担を減らし、遺産を最大限に活用できます。

まとめ

米国の非居住者にとっては、遺産税を支払うための基準値が低いため、フォーム706-NAとその影響等について、知識を深めることは良いことです。 特に、米国内に不動産や株式を所有している場合、どのように遺産税が計算され、申告されるのかを理解することで、適切な財務計画を立てることができます。

 

当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。

 

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