
ニューヨーク・マンハッタンで6月30日、恒例のプライド・パレードが開催され、LGBTQ+の権利を主張し、祝福するイベントに数百万人が参加した。街は、性的少数者を象徴するレインボーカラーをテーマにしたコスチュームの市民にあふれ、笑顔でLGBTQ+へのサポートを示した。
しかし、親イスラエル派、親パレスチナ派の両グループが、沿道でシュプレヒコールを連呼。イスラエルと軍事組織ハマスの戦争をめぐって対立する、政治色の強い異例のパレードとなった。
ダウンタウンのゲイバー「ストーンウォール・イン」で1969年6月、ゲイと警察の間で初の衝突が起き、逮捕者が出た。その翌年から性的少数者の権利を求めるパレードが始まった。今年は事件から55年に当たる。事件後、バーがあるクリストファー・ストリートからハドソンリバーにかけて、親や社会に認められずホームレスとなったゲイが住むようになった。警察や市民から攻撃され、命を落とした者もいた。
55年後、ニューヨークでは性的少数者への理解が進んだ。パレードには今日、権利擁護団体だけでなく、大手航空会社、銀行、ホテルなどが巨大な山車を特注し、扇子やレインボーのスカーフなどを市民に配り、市民からは興奮の声が起きている。
しかし、今年は親イスラエル派、親パレスチナ派のグループも行進。親パレスチナ派は山車の上から「フリー、フリー、ガザ!」とマイクで叫び、沿道を埋めた市民が街をつんざく大合唱で応じた。パレスチナ伝統のスカーフ「ケフィエ」をレインボーのコスチュームにはおる若い人も沿道で目立った。
ニューヨーク州、ニューヨーク市は、性的少数者を擁護する政策を進めている。しかし、ストーンウォール・イン正面にあるストーンウォール国立記念碑公園に掲げられたレインボーの旗が破壊される事件が昨年に引き続き今年も起きた。LGBTQ+の権利を認めたくない市民の犯行とみられ、昨年、今年ともにパレードでは、私服警官や警察犬の姿が見られた。
こうしたLGBTQ+権利運動に対する揺り戻しを警戒し、ニューヨーク州は、性的少数者であることを理由に解雇したり、昇進を阻むことはできないことを法令化している。学校でも、性的少数者の児童・生徒がいじめの対象にならない対策を講じることを義務化している。(津山恵子)

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