ケネディJr.登場も盛り上がらない大統領選。 このままだとトランプ再選。その先には「内戦」も?(上)

このままでは悪夢のトランプ復活か?

 アメリカ大統領選挙の候補者が目指すのは、ホワイトハウスである。しかし、バイデンもトランプも行くべきところは、ホワイトハウスではない。それは、老人ホームであるべきだ。このままでは、アメリカは危機に陥る。それがわかっていて、なぜ、「81歳vs77歳」という「老々対決」の大統領選挙を行うのだろうか?
 あえて書くまでもないが、私の知り合いの一般のアメリカ人は、みな本当にうんざりしている。まさに、「最悪の選択」が始まろうとしている。
 しかも、第3の候補者の筆頭のロバート・ケネディJr.も70歳と高齢で、陰謀論者(conspiracy theorist)である。これでは、どう見ても、大統領選の投票率は史上最低を記録するだろう。
 さらに、その結果が、いまの世論調査どおりになった場合、トランプのカムバックは確実ときている。日本のメディアが使う「もしトラ」が「ほぼトラ」が現実になってしまう。これは、欧州諸国と日本などので同盟国がもっとも歓迎できない結果だ。

じわじわとバイデンに差をつけるトランプ

 ハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスが4月29日に発表した世論調査のなかの一項目「もし今日、大統領選挙が行われた場合、誰に投票するか?」に対して、トランプはなんと48%を記録した。これは、バイデンの43%を5ポイントも上回っている。
 3月時の同調査では3ポイント差だったから、少しずつ差が広がっている。
 CNNが4月に行った同様の調査でも、結果は同じだ。こちらはトランプが49%で、バイデンが43%。トランプがバイデンを6ポイントも上回っており、1月時の調査と比較すると、トランプは49%で変化はないが、バイデン45%から2ポイント後退している。

4つの裁判の結果次第で変わる支持率

 ただし、「ほぼトラ」がひっくり返る可能性はある。それは、トランプが抱えている裁判の結果により、彼の支持率が落ちる可能性があるからだ。
 現在、トランプが抱えている裁判の罪状は次の4つ。
(1)フロリダ州の自宅に機密文書を不正保管した罪
(2)ジョージア州の2020年大統領選挙結果を覆そうとした罪
(3)2021年1月6日の連邦議事堂襲撃を扇動した罪
(4)不倫の口止め料を不正処理した罪
 このどれでも、あるいは一つ二つでも、もし有罪となれば、これまでの世論調査ではトランプの支持率が下がるとされている。ただ驚くのは、先のハーバード大学米国政治研究センターとハリス・インサイト・アンド・アナリティクスの世論調査では、下がってもバイデンとはほぼイーブンで、有罪だろうとトランプに投票する岩盤支持層の支持は揺るぎないことだ。
 無党派層は当然、トランプを支持しなくなるだろうが、彼らの多くが大統領選に行くとは限らない。
 いずれにしても、大統領選挙戦と裁判は同時進行中だ。(1)(2)(3)は公判が遅れているが、(4)はすでに5月21日に、検察・弁護側がともすべての証人尋問を終えており、4つの裁判のなかでもっとも早く結果が出そうである。
(つづく)

この続きは7月3日(水)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

 

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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