シェルターにあふれる犬
里親のなり手不足で「危機的状況」
ニューヨーク市内の動物シェルターに犬があふれている。 里親のなり手が不足して「危機的状況」が続いており、 動物愛護団体は「犬を飼おうと思っている人は、 シェルターを訪れて」と訴えている。7日、 ゴッサミストが報じた。
動物愛護団体「Animal Care Centers (ACC) of NYC」が収容する犬は先月時点で354匹。理想的な数は185匹で「 廊下やオフィスにも犬があふれている」と同団体のキャシー・ ハンセンさんは話している。
コロナ下で里親になった市民が飼いきれずに持ち込むケースが増え ている一方、里親のなり手が減っていることが原因だ。 ACCでは2018年には四半期に約700匹の犬が引き取られが 、今年の第一四半期は311匹。 引き取られるまでの日数も中型犬で平均24日とコロナ前の3倍に なっている。
市内には、猫は飼ってもよいが、 犬は不可とするアパートも多く、犬は肩身が狭い。しかも、 動物飼育にかかる費用は年間3000ドル以上と全米で2番目に高 い。獣医費用もこの1年で6%上昇。ハンセンさんは「 インフレで、里親になるのをためらう市民が増えている」 と分析する。
施設から引き取られる確率もコロナ前の93%から88% に落ちた。引き取り手のない犬は殺処分される。 アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)はペットフードを無料提供するパントリーの開設、 獣医サービスの補助、ハウジングに関する法律相談などを実施。 ペットのオーナーに経済的理由で犬を放棄しないように呼びかけて いる。
ASPCAによると、 犬の飼育を開始した人でシェルターから引き取った人は23% に過ぎない。ブリーダーから購入した人は34%で、 代金が6000ドルになることもある。 シェルターの犬はワクチン注射や繁殖予防手術済み。同団体では「 シェルターには可愛い犬がたくさんいる。 犬を飼うことを考えている人は、シェルターを訪れて」 と訴えている。
【関連記事】
手数料5ドルでペットの里親に 今夏の措置、大型犬や成猫に限る