青森のサウナカーでどこへでも

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共同通信
サウナカーを運営する冨岡未希さん=2023年12月、青森市

 ストーブからまきのはじける音が響き、2メートル四方の空間は汗が噴き出る温度になる。3人が座れるベンチは壁板と同じヒバ材で、暖められるとさわやかな香りが立ちこめる。青森県出身の冨岡未希さん(38)が運営するサウナカーは、岩木山、陸奥湾、リンゴ畑など青森の自然を眼前に「ととのう」ことができる人気事業だ。(共同通信=遊佐直子)

 軽トラックのキャンピングカーを改造し、ヒバは県産、サウナストーンには津軽金山焼をちりばめるなど青森の素材にこだわった。車内に大きな窓はないが、外でクールダウンする時間に自然を満喫できる。「サウナを通じて大好きな青森の魅力を発信したい」

 サウナとの出会いは姉に勧められた6年前だ。火照った体で水風呂に入ると、全てがリセットされるような爽快感を覚えた。仕事の部署異動がきっかけで心身に不調を来して休職した時には、癒やしを求めて「週に5回は通った」というほどのめりこんだ。

 そんな時、頭に浮かんだのが古里の青森だった。大学進学で上京して以来「成功してからじゃないと帰れない」という気持ちがあったが、静かに自分と向き合う時間に望郷の念が強くなった。

 サウナと青森―。大好きな二つを組み合わせたサウナカーを思いついたのは2021年冬ごろ。ちょうど勤め先が副業を認めたこともあって、2022年に「UNITED AOMORI」社を設立して東京と青森の2拠点生活を始めた。

 稼働依頼やイベントでの出展は青森が中心だが、県外に出向くこともある。茨城県で昨年開かれたサウナフェスでは「ヒバの香りがいい」と好評だった。人脈もできて、サウナとヨガを組み合わせたツアーの開催につなげたこともある。

 グッズ製作や動画配信のアイデアは絶えず湧いてくる。現在は、青森市に購入した平屋をサウナカーと連動したイベントなどの活動拠点にするため準備している。「起業したい人や好きなことをして生きたい人の背中を少しでも押したい」と意気込んだ。

サウナカーを運営する冨岡未希さん=2023年12月、青森市
サウナカーの上で外気浴する冨岡未希さん=2022年4月、青森県内
リンゴ畑で外気浴するサウナ客ら=2023年10月、青森県弘前市
雪の中で外気浴を楽しむサウナ客ら=2024年3月、青森市