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共同通信
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パキスタンとアフガニスタンを結ぶ交通の要衝カイバル峠は、アレクサンドロス大王の東方遠征やイスラム勢力のインド征服の際に通過点となった。ここに続くパキスタン側の道に建てられた門の改修を巡り、住民が相次いで抗議し、補修材に従来と違う色を使ったため「印象を損ねる」と訴えている。(共同通信=和田真人)
1963年に使用が始まった「カイバル門」で、パキスタンの10ルピー(約6円)紙幣の図柄にも採用されている。2018年にカイバル・パクトゥンクワ州に編入されるまで、国内の法律が事実上適用されない「部族地域」にあったカイバル地区への入り口でもある。
2024年6月中旬、州都ペシャワルから西に進むと、商店が並ぶ街道をまたいで白く輝く門が現れた。近づいて見ると、薄茶色の石を積み重ね、隙間を灰色のコンクリートで埋めている。しかし、門を支える二つの柱の片方が、一部だけ黒いコンクリートで石の隙間が補修され、全体の配色がちぐはぐになっていた。
「歴史ある建造物の印象が変わってしまった。こんな改修工事は受け入れられない」。近くに住むヌール・ザマンさん(30)が憤りを口にした。「汚れているように見える」との意見もあり、補修材を変更するよう求める声も出ている。
改修は2024年5月末ごろに始まった。地元行政当局は、1947年に英領インドからパキスタンが分離独立した記念日である8月14日よりも前に改修を終え、黒い部分は白く塗る予定だ。
当局幹部は、歴史的な門の改修であるため、さまざまな部署で工法を検討したと強調。抗議に対しては「住民代表らに、白く塗る予定であることを周知するよう努めている」と話した。