共同通信
国際的なスノーリゾートとして、冬は多くの外国人客でにぎわう北海道ニセコ町や☆(人ベンに貝の目が組のツクリ)知安町などで、発酵食品を新たな観光資源に夏の集客力を向上させる取り組みが進んでいる。日本酒やチーズなどの生産者が多く、事業者でつくる「ニセコ発酵ツーリズム推進協議会」の水口渉会長(49)は「雪以外にも魅力のある地域だと知ってもらいたい」と意気込む。(共同通信=竹内大志)
ニセコ地区は降雪時期とそれ以外で、集客力のギャップが大きい。☆(人ベンに貝の目が組のツクリ)知安町は昨年度、観光客入り込み数が最も多い1月の約27万3千人に対し、最少は6月の約6万人。冬の需要に合わせ家賃や人件費は高騰し、通年雇用が難しいのが課題だった。
協議会は2021年結成。☆(人ベンに貝の目が組のツクリ)知安町で1916年創業の酒蔵を経営する水口さんは「ビールやヨーグルトなどいろいろな種類の『発酵家』がいるのが地域の魅力だと気が付いた」と話す。「羊蹄山から湧き出る軟水など、発酵食品に適した環境が影響しているのでは」と推測する。
商品の共同開発や販売から始め、22年には発酵食品の魅力を感じてもらう交流イベント「発酵祭」を開催。今年は出展者に酒類の事業者が多く、初めて夜間に実施した。会場のニセコ町内の牧場には、札幌市など道内各地から約50人が訪れ、会員が商品に込めた思いを語るプレゼンや懇親会を楽しんだ。
会場に来られない人のため、限定の詰め合わせセットを返礼品としたクラウドファンディングも実施、目標金額85万円を上回る約110万円を集めた。水口さんは「これまでアプローチできなかった人にも届けられたかな」と手応えを感じる。
会員数は現在、11事業者まで増えたが、水口さんはより多くに加わってほしいと願っている。活動もまだまだ手探り。「より多くの事業者を巻き込んで、新しいイメージを発信したい」。今後は酒蔵や醸造所見学など、実際に足を運んでもらえる企画を考えている。