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共同通信
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観光客の人混みから現れた男が突然、右足でシカの腹を蹴った。おびえるように逃げるシカ。男は去り際に、別のシカの顔を平手打ちした―。
7月、奈良市の奈良公園でシカに暴力をふるったとみられる動画が交流サイト(SNS)で拡散した。「悲しい」「シカを守って」。警察には90件以上の反響や相談が寄せられた。手厚く保護され、観光客だけでなく地元にとっても大切な奈良のシカ。保護団体の担当者は「暴力行為はしないで。シカと人間が共生してきた奈良の環境を理解してほしい」と訴える。
「シカを絶対に蹴らないでください」。7月25日、奈良公園に奈良県警の「DJポリス」が出動した。拡声器を使いながら英語や中国語で注意を呼びかけ、チラシを配布。動画の真偽や経緯は明らかになっていないが、奈良署の中井一成刑事官は動画の悪影響を懸念しているとして「まねをする人が出てはいけない」と話した。
地元の春日大社には、神様が白鹿に乗って奈良に来たとの言い伝えが残され、1957年に国の天然記念物に指定された。