百日ぜきの患者、NY市で増加
保健当局、予防接種を奨励
ニューヨーク市で百日ぜきの患者が増えている。米疾病対策センター(CDC)によれば、2024年(8月17日時点)の患者数は427人に上っており、前年同時点の159人と比べて、約168%増加。市保健当局は、公立学校の新学期が始まったことを踏まえ、注意を呼び掛けている。パッチが8月30日、伝えた。
百日ぜきは感染力が非常に強く、空気感染によって人から人へと広がる。典型的な症例として、最初の1、2週間はせきと鼻水に見舞われた後、数週間から数カ月かけて激しいせきの発作が続く。発作時の息を吸うタイミングで「ヒューヒュー」という音がするのが特徴で、治まるまで100日程度かかることが名前の由来とされている。軽度に発熱することもあるという。
CDCによれば、ここ数年間の患者数は例年より少なかったもののパンデミック前のレベルにまで増加。全米では、23年から24年にかけて患者数は3倍以上に増えている。CDCは、パンデミック時はソーシャルディスタンスなどの影響で感染が抑制されていたと指摘。ニューヨーク市の保健当局は、予防接種を受けられない新生児が感染の危険性が最も高いことから、妊娠中の女性や乳幼児と密接に接触する人々に対し予防接種を受けるよう強く勧めている。
【専門家のコメント】
予防医学・家庭医療/中釜知則医師
百日ぜきに感染してしまった場合は抗生物質による治療も可能ですが、何より予防接種が効果的です。日米ともに新生児の際に破傷風、ジフテリアとの混合ワクチンが接種され、小学校高学年時の追加接種により百日ぜきの生涯免疫を取得しますが、ブースター未接種の大人や妊婦が感染した場合、胎児、新生児へ感染が拡大してしまいます。妊娠を考えているご夫婦、妊婦、日本からの旅行者、出張者や駐在員は医療機関でブースターの有無の確認、接種を行ってください。
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