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共同通信
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国内のアンティーク雑貨や家具を中心に扱う富山県滑川市の「古道具とれじ」は、空き家の整理や解体などに伴い処分されるさまざまな物を買い取って手入れし、店頭やインターネットで販売、次の人へ橋渡ししている。店主らは「皆の不要品を宝物にしたい」と県内中心に飛び回る。(共同通信・吉永美咲)
店内のガラス棚にはレトロな雰囲気のグラスや食器、小物が並び、壁には今なお時を刻む振り子時計がかかる。洋風に見えるものでもほとんどが日本製だ。店主の加奈子さん(47)らが富山県などで集めた。
古道具との出合いは2000年、東京での大学生活最後の年だった。フリーマーケットで、友人が要らない物を売り買いするのを見て「そんなものがあるんだ」と知った。
卒業後、故郷の滑川市で就職。小遣い稼ぎ感覚で、富山市内ののみの市に不要品を出品し始めた。職場で出会った男性と結婚し、30代で退職。機械好きな夫と、日本各地のフリーマーケットやのみの市を巡った。
そうして収集した小物などが、実家の倉庫に入りきらなくなった。保管場所を探していたところ、今の店舗の物件に出合い購入。広いスペースには夫が集めた自転車やバイク、部品などを、隣の部屋には加奈子さんが集めた雑貨を置いた。
「初めはお店をするつもりは全くなかった」。立ち寄る人が徐々に増えてきたこともあり、リノベーションして2018年4月に店をオープン。店名は、夫の幼い頃の夢だった「トレジャーハンター(宝探しする人)」が由来だ。
県内でも多い空き家や実家の片付けなどで出た不要品を一括して買い取り、使える物をきれいにして販売。若者や子連れ客も含め誰でも気軽に来て楽しんでもらえる場所にしようと、色や形を生かした配置を心がける。「次に使う人の手に渡り、新しい命を吹き込んでくれたら」