チェルシー・ホテルのネオンサイン、競売に アーティスト定宿の象徴

 

チェルシー・ホテル
ネオンサイン、競売に

アーティスト定宿の象徴

The Hotel Chelsea, New York City. photo: Velvet

歌手のパティ・スミスや写真家のロバート・メープルソープがかつて根城とした「チェルシー・ホテル(現ホテル・チェルシー)」。薄暗い街に白と赤のネオンサインが輝いていた。6日付けのニューヨークタイムズによると、そのネオンサインが競売にかけられる。

競売するのはオークションハウスのGuernsey’s。ホテル(HOTEL)の部分は1文字ずつ、チェルシー(Chelsea)はまとめて売られる。東面と西面があるので2セット存在する。ホテルの1文字は高さが約5フィート。チェルシー部分は高さが4フィート弱、幅は93インチだ。

1880年代にオープンしたこのホテルはアーティストの梁山泊。アンディー・ウォーホル、アーサー・ミラー、ボブ・ディランが出入りし、テネシー・ウィリアムズとジョン・ボン・ジョヴィが時代を違えて5階の同じ部屋を使ったこともある。ジャクソン・ポロックが使った部屋の床にはキャンバスから滴り落ちた絵の具がこびりついていた。俳優のマイケル・インペリオリは8階の廊下で幽霊を目撃したなど、興味深いエピソードには枚挙にいとまがない。

競売にかけられるネオンサインは1949年に設置された3代目。当初のサインは白熱球が使われていた。「ズズズ」というノイズを出す。高い場所に設置されていたので歩道からは聞こえないが、「2001年宇宙の旅」の執筆に疲れたアーサー・C・クラークがバルコニーに出た時にはこの音を耳にしたはず。数年前にホテルの改築が始まると、このネオンサインも取り外された。

オークション前の一般公開は9月22日と23日。オークションハウスのアーラン・エッティンガーさんは「このサインは自由な発想、クリエイティブな活動、無秩序なライフスタイルの象徴だ」と語る。このオークションはその象徴を手に入れるまたとないチャンスだ。

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