奴隷制被害者の子孫へ補償計画策定
NY市、委員会の設置を承認
奴隷制が公式に廃止されてから約200年が経った今、ニューヨーク市議会は12日、奴隷制の計り知れない影響を調査し、その被害に対する補償計画を策定する委員会を承認する条例案を可決した。ニューヨークタイムズが同日、伝えた。
市は、アフリカ系と米国先住民の奴隷化の影響を調査し、現在も社会に影響を与えている長期的な社会・経済的損害の補償方法について検討する。同条例案の提案者らは「損害は不平等な刑事司法への関与から、健康状態の悪化や、住宅所有率の低下、質の高い教育の選択肢の欠如に至るまで、あらゆるものに現れている」と主張。全米の一部の市や郡、州では既に同様の取り組みが進んでいる。ニューヨーク州政府も昨年、補償を調査するための州委員会の設置を承認。市における補償の可能性としては、金銭的な補償の他、公共の記念碑、公式謝罪、教育や医療へのアクセス改善などが含まれる。議員らは「州と市の委員会が協力して取り組む」と述べた。
ニューヨーク市の歴史と経済的成功は奴隷制度と密接に絡み合っている。1700年代、市は国内でも有数の奴隷所有率の高さを誇り、市の人口の15~20%が奴隷として働かされていた。奴隷制度が禁止された後も市の企業は国際的な奴隷貿易に関与し、利益を得ていた。
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