「なぜ被爆者としないのか」長崎

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共同通信
「被爆体験者」訴訟の長崎地裁判決で原告の一部が被爆者と認められたことを報告する、原告団長の岩永千代子さん(右から4人目)と原告の山内武さん(右端)ら=9日、長崎地裁前

 被爆者と認定されていない長崎の「被爆体験者」に対し、岸田首相が被爆者と同等の医療費助成をすると表明した21日、現地では「皆に支援が行き渡る」と評価する声が上がる一方で、訴訟で被爆者認定を求めてきた原告からは「同じ原爆に遭っているのになぜ被爆者としないのか」との批判が相次いだ。

 原告団は午後、長崎市内で記者会見し、不満をあらわにした。団長の岩永千代子さん(88)は「被爆体験者としたのは国」と指摘し「間違っていたことを反省すべきだ。拡充はいりません」と語気を強めた。

 岸田首相は原告の一部を被爆者認定した9日の長崎地裁判決に控訴する方針を示した。判決で「黒い雨」が降った地域にいたとして被爆者健康手帳の交付が認められた松田宗伍さん(91)も取材に「医療費を同じにするなら、なんで手帳はくれんとですか」と怒りをあらわにし「広島は同じ条件で被爆者にしたのに、長崎はしないのは差別だ」と批判した。控訴断念を求めていた原告の山内武さん(81)は会見で「金じゃなくて差別されるのが一番のネックだ」と訴えた。