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共同通信
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1873(明治6)年創業の「日光金谷(かなや)ホテル」(栃木県日光市)が、大正時代の味とするレシピで復刻したカレーが人気だ。レシピ発見と復刻は約20年前で、利用客からは「金谷と言えばカレーだ」と言われるまでに定着。中川浩司(なかがわ・こうじ)料理長(51)は「看板料理の一つ。決して味を変えずに継承したい」と力を込める。(共同通信=片山歩)
日光金谷ホテルは現存する国内最古のリゾートホテルとされ、建物は国の登録有形文化財にもなっている。カレーは1904(明治37)年、メニューに登場した。太平洋戦争後は建物を接収した連合国軍の兵士好みになるなど、味付けは少しずつ変化していったらしい。
レシピは2003年、敷地内の蔵から見つかった。用紙の特徴から、歴代料理長による口伝えの継承を昭和中期に筆記したとみられた。
ホテルは過去のメニューなどから大正時代の味と推測し、創業130年記念でこれを復刻することに。材料はタマネギなど一般的なものだったが分量の記載はなかった。当時の料理長はココナツミルクやピクルスの漬け汁を使うなどの現代的アレンジも加え、濃厚で甘みのある味に仕上げた。
名付けて「百年ライスカレー」。現在は主にランチで提供しており、ビーフ、チキン、カモ、とんかつの4種類。初登場からは今年で120年となり、中川さんは「食で歴史を感じてほしい」と話す。
紅茶かコーヒー付きで3500円から。サラダとデザートが加わるセットはビーフのみで5千円。