前橋の障害者支援施設、ヤギのふんから和紙

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共同通信
ヤギのふんを使った和紙=2024年7月、前橋市

 前橋市で障害福祉事業所を運営するNPO法人が、飼っているヤギのふんを使った和紙作りに取り組んでいる。事業所の利用者が紙すきに携わり、5枚つづりのスケッチブックにしてJR前橋駅の土産物店で販売。柔らかな手触りが特徴で、評判も上々だ。地域住民との交流に一役買ってほしいとの思いを込める。(共同通信=国近賢宏)

 和紙を制作、販売するのは、障害者の生活介護と就労継続支援を行う同市のNPO法人「麦わら屋」。利用者の個性を表現できる創作活動に力を入れており、これまでもハンカチやTシャツを作って売っている。

 小野介也理事長(45)によると、ヤギを題材にした現代美術を手がける知人の東京芸術大教授から、ヤギの飼育を勧められた。2023年9月から事業所で飼い始め、利用者に餌やりやふんの掃除を手伝ってもらっている。

 こうした中、事業所の職員が動物園を訪れた際、ゾウのふんを用いた和紙作りを見かけ、着想を得た。ヤギのふんを長時間煮詰めて殺菌し、繊維質を取り出す。再生パルプを混ぜてすき、乾燥させると優しい風合いの和紙に仕上がる。手に取った人からは「しっとりした感触と手作り感が良い」と好評だ。

 ヤギの存在で、地域住民から話しかけられる機会も増えたという。小野さんは、和紙もヤギと同様に相互理解を深めるツールになり得ると指摘。「障害の有無にかかわらず、誰もが心地よく暮らせるように」と願う。

ヤギのふんを使った和紙の紙すきをする、NPO法人「麦わら屋」が運営する障害福祉事業所の利用者(左)=2024年7月、前橋市
NPO法人「麦わら屋」が飼育するヤギと小野介也理事長=2024年7月、前橋市