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共同通信
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宮城県松島町のハンバーガーショップ「ハリーズ・ジャンクション」が11月、米インディアナ州で開かれる世界大会に出場する。同町出身のオーナー佐藤賢将さん(40)が2018年に開店。地域の食材の魅力を生かし、地元を盛り上げようと奮闘している。
肉のうまみ、野菜のみずみずしさ、ソースの甘みが口の中で一つになった。看板メニュー「ハリーズバーガー」のパティは牛肉100%だ。ソースに混ぜ込んだ自家製コンビーフに仙台牛のすね肉を使用。レタスやトマトはできる限り、県産にこだわっている。(共同通信=生田緑)
佐藤さんは高校卒業後、東京で就職し、飲食業界を中心に働いた。ハンバーガーの何でも挟める「自由さ」に魅力を感じ、最初は東京での出店を考えていた。
帰省時、中学時代の野球部の恩師から「商店街が閑散としている。子どもも減ってきた」という嘆きを聞く。日本三景として知られるが、海沿いの観光地から外れれば、人口減少の波が押し寄せている。「地元を盛り上げたい」と願い、34歳の時、松島に店を構えた。
東京では業者が持ってきた食材を使うことが多かったが、農家とつながるようになった。「作っている人を自分の目で見ると、使いたくなる」。メニューには、県内で養殖が盛んなカキを使ったオリジナルのバーガーもある。
2024年6月、埼玉県で開催された「ジャパンバーガーチャンピオンシップ」で優勝した。予選では宮城・蔵王のクリームチーズや仙台みそ、牛タンを駆使。決勝はハリーズバーガーをベースに、仙台牛100%のパティと指定食材を併せ、世界大会への切符を手にした。
世界大会では、日本からの食材の持ち込みは困難とみられる。それでも「宮城らしさ、地元らしさ」の演出ができるように知恵を絞っている。目指すは世界一だ。