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共同通信
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「司法に切り捨てられた」。21日の東京高裁判決は、御嶽山の噴火災害に関する国の責任を認めなかった。「あの時危険が示されていれば、犠牲者はいなかったはず」。噴火から10年がたっても悔やみ続ける遺族らは、やり切れない思いをあらわにした。
「本件控訴をいずれも棄却する」。裁判長が読み上げた判決は、国の賠償責任どころか、一審判決が認めた国の注意義務違反も否定する後退した内容。原告らは一様に厳しい表情で、時折首をかしげながら聞いていた。
直後に原告らが開いた記者会見は重苦しい雰囲気に。11歳だった次女長山照利さんを亡くした父親の幸嗣さん(54)=愛知県豊田市=は「あまりにあっさりした判決で憤りを感じている」と唇をかんだ。
一緒に登山していた友人が犠牲になり、自身も負傷した田幸秀敏さん(50)=長野県茅野市=は「安心安全を第一に、ちゅうちょなく噴火警戒レベルを上げるべきだった」と国の対応を改めて批判した。