イスラエルと共生の道探るべき

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共同通信
取材に応じるイゼルディン・アブラエーシュ氏=5日、東京都武蔵野市

 パレスチナ自治区ガザ出身で、イスラエルで働いた経験を持つ医師イゼルディン・アブラエーシュ氏(69)が24日までに、東京都内で取材に応じた。約15年前にイスラエル軍の攻撃で3人の娘を亡くし、今回の軍の侵攻でも約50人の親族を失った。それでも「パレスチナ人とイスラエル人は等しく自由と尊厳がある」と述べ、共生の道を探るべきだと訴えた。

 ガザ北部ジャバリヤ難民キャンプで生まれ育ったアブラエーシュ氏は、猛勉強の末、産婦人科医に。キャンプで医院を経営していたが、患者の治療を通じ知り合ったイスラエル人医師に誘われ、1997~2002年、イスラエル南部ベエルシェバの病院にガザから通いで勤務。イスラエル人の出産を担当した。

 パレスチナ人医師がイスラエルで働くのは初のケースだった。病院で出自を明かすと妊産婦たちは驚いたが、次第に信頼された。「パレスチナとイスラエルの橋渡し役になりたかった」と話す。

 07年、イスラム組織ハマスがガザを武力制圧すると、イスラエルはガザを封鎖。軍がハマスと衝突し09年、自宅が砲撃された。