本郷弁護士の遺産計画TIPS 第9回 後見人制度 vs. エステートプラン内の永続的委任状等

 

本郷弁護士の遺産計画TIPS

第9回 後見人制度 vs.

エステートプラン内の永続的委任状等

 

弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。

 

第9回 後見人制度 vs. エステートプラン内の永続的委任状等

後見人制度とは、処理手続き等が不能になってしまった方の経済的及び個人的な事項に対し、代理で処理手続き等をしてくれる後見人を任命する手続きを指します。多くの場合、裁判所が後見人を任命するための手続きは、長期的なプロセスを伴います。また、後見人が任命された後、裁判所からの頻繁な監督指示が必要になります。当プロセスを回避するため、生前、不能になった場合に代理で判断等を下してくれる代理人を任命するための、永続的委任状や医療処置委任状等の書類を含む包括的なエステートプランを作成することをおすすめします。

エステートプランを通じて不能になった場合に備える方法

エステートプランを作成できる弁護士を雇用した場合、作成してもらう包括的なエステートプランにおいては、永続的委任状と医療処置委任状が含まれることが多いです。永続的委任状は、自らが不能になった場合、請求書の支払い等を代理で引き受けてくれる代理人を任命する書類になります。医療処置委任状は、医療に関する事項において、対応してくれる代理人を任命することになる文書です。

生前上記の書類を作成することは、自らが不能になってから手続きを通過しなければならない、時間が掛かる後見人制度を回避して、自身に代わって経済的、または医療に関する事項に対し、判断を下してくれる代理人を事前に指定しておくことを可能にする、費用効果の高い手段となります。

まとめ

不能になってから、長い裁判所のプロセスを伴う後見人制度を通過することは困難なため、上記の委任状等を含めたしっかりとしたエステートプランをお元気なうちに作成することをおすすめします。

第10回 「U.S.トラスト」と「外国籍のトラスト」

通常、アメリカにおいて作成するトラストは、「U.S.トラスト」と見なされます。しかし、トラストの受託者 (Trustee)にアメリカの非居住者、またはアメリカ市民でありながら、アメリカの国外に居住する方を任命した場合、アメリカの税務当局からは、「外国籍のトラスト」として見なされる可能性があります。その場合、「外国籍のトラスト」は、「U.S.トラスト」よりも、より厳しい税務支払義務等を課される可能性があります。

連邦規則上、「U.S.トラスト」にするには、受託者 (Trustee)がアメリカ居住者でなければならない

連邦規則上、「アメリカ人」がトラストに関する重要な決断を下す権限を有している場合、トラストは「U.S.トラスト」と見なされます。(注:「アメリカ人」とはアメリカ居住者、アメリカ市民でアメリカに在住する方等を含みます。)こちらの規則上、アメリカの非居住者、またはアメリカ市民でありながら、アメリカの国外に在住する方を受託者 (Trustee)に任命することは控えた方が賢明かもしれません。アメリカで永住権を所有されている、またはアメリカ市民でアメリカに在住している方等を受託者 (Trustee)に任命する方がより賢い選択かもしれません。

まとめ

トラストを作成する際、受託者 (Trustee)に任命する方の国籍や、アメリカでの居住形態等をまず確認してから、トラスト作成を進めて行くことをお勧めします。

当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。

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